その決断は本当にあなたが考えたことなのか

さらには、

「この人たちはどんな報道を見ているのか」
「何を、誰を、情報源にしているのか」

を把握することも、相手を知る上では重要な要素になる。とくに検索履歴や閲覧履歴、そして通信履歴を見ればかなりはっきりとわかる。

ネット広告技術をベースにしたターゲット手法は世論操作などにも使えるわけだ。

このような目的で、あなたのデータが他国に収集され、あなたへのオススメとして特定の傾向の記事ばかり出てくるようになり、知らず知らずあなたの政治的な意見まで操作されてしまう――。そんな最悪の事態が起きかねないのが現代のデジタル社会である。民主主義的な社会を守るには、まず自分の情報をしっかりと守ることが重要になる。

ビッグデータに基づき、人々を特定の方向に誘導する。これは自分でも気が付いていない欲求をAIが見つけていることを意味する。AIはこれまでのデータから、あなたの心を読んでいるのである。

そして、何か、決断をさせようとしている。

これは、人の考えに対する影響に他ならない。インターネットが普及してから、あっという間に、そんなことまでできる時代になったということだ。

データ収集能力は盗聴の時代から進化している

国家であれば、自国が優位に立てるように、特定の国の個人や団体に関する情報を収集、または監視する。その対象が政府かマスコミ、企業なのかによって、切り口は変わるが、そうして集めた情報は、対外戦略を作るための基礎資料にもなるのである。

じつは昔から、スパイ機関などがインテリジェンス活動でそうしたデータを集めてはいた。昔は、首脳や高官らの会談などを盗聴したり、電話の通話をモニターすることによって、その国の方針などを知ろうとした。

それがいまでは、まさにインターネットを経由してデータを吸い上げることで、経済・社会活動、言論空間を含めて、何がこの国で起こっているのかを瞬時に知ることができる。

さらにそれをひっくり返すことも、流れを弱めることも、特定の人に特定の情報を与えることで可能となってきている。それを狙って、国によっては、国家が強引に、情報を社会の隅々から吸い上げている。

多種多様の、ありとあらゆるデータがあれば、データやAIによる分析の精度もさらに上がる。