2022年度の中学受験が終わった。挑んだ小学6年生はまだ11、12歳の子供だが、大人でも答えに窮するような問題を出す学校もある。今回、男子御三家・麻布の「社会」では移民・難民問題が出た。プロ家庭教師集団「名門指導会」の西村則康さんと辻義夫さんは「学校別の“良問”出題ランキングをつくるとすれば、1位は麻布だ」という――。
写真=プレジデントオンライン編集部
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男子御三家・麻布の「難民問題」で問われた“親子の技量”とは?

2022年度の中学受験がほぼ終了した。受験者数は去年以上と、オミクロン株が蔓延する中で中学受験は過熱の様相を呈した。

注目すべきは、各校の出題問題だ。プロ家庭教師集団「名門指導会」のカリスマ家庭教師、西村則康さん、辻義夫さんによると、出題問題から各校の「来てほしい生徒」、つまり「受かる家庭」の傾向が透けてみえるという。早速問題を見てみよう。

今年もっとも話題になった問題のひとつは、都内最難関の男子御三家の一つ、麻布中学(以下、「麻布」)の社会科だ。テーマは、移民・難民問題。一部抜粋する。

<(前略)日本に逃げて来た人たちの難民審査は厳しく、問題視されています。次にあげる資料1は審査のときにきかれる質問内容の一部です。日本政府がこのような質問をすることは、難民を保護するという点から見たときにどのような問題があると考えられますか。質問3~5から1つを選び、その質問の問題点を説明しなさい>

<日本に働きに来た外国人とその家族の人権を守るためには、どのような政策や活動が必要だと考えられますか。君が考える政策や活動の内容とそれが必要である理由を、80~100字で説明しなさい。なお、句読点も1字分とします>

(※)四谷大塚の模範解答:「日本語の能力や社会生活を送るうえで必要な知識を確認する検定制度を設け、達成した者には最低賃金を保障する。さらに、家族を養えるほどの収入がある者には家族の滞在を認めるといった細かなルールを定める」

どちらも記述問題であるが、大人でも難解かつ、普段会話にのぼる機会が少ないテーマなだけに、注目を集めた。辻さんは、質問の本質をこう考える。

「難民審査を始め、移民・難民問題についてどう“考える”のか。子供を通して、ご家庭の見解もすごく見えてくる問題です。ポイントは、『難民問題について普段からご家庭で話しているか』ではありません。そもそも、問題文を読んでいけば、現在に至るまでどのようにして外国人が日本に入ってきたのかが説明されていて、ある程度の状況を理解できるように問題は作られています。その上で、受験生が問題を読んだ時、自分なりの考えや判断の仕方が、家庭ごとに偏っているのか、物事をフラットに受け止めることができるかが、回答に反映されます。そこを見ているのではないでしょうか」

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