夫婦関係が破綻していたら不貞行為と認められない

(1)夫婦としての実体があること

不貞は貞操義務違反ですが、婚姻届けを出していない内縁関係にも貞操義務はあると解されています。

一方、婚姻届けが出されていても、すでに長期にわたり別居するなどして、婚姻関係が破綻して婚姻そのものが形骸化している場合には、不貞による婚姻関係破綻の責任を問われることはありません。

大切なことは、夫婦としての実体があることです。夫が不倫をしていた時期に、妻と婚姻関係にあり、なおかつその関係が破綻していないことが重要です。すでに夫婦関係が破綻していて別居などをしている場合は、不貞行為だと認められません。

また、配偶者が浮気相手に、「自分は独身だ」、「妻はいない」などと公言しており、浮気相手が夫を既婚者だと認識していなかった場合は、その不貞相手は、不貞行為に加担している認識はなかったことになるので、不貞の責任を問うことはできません。

(2)きわめて親密な関係になること

「肉体関係を持っていた」と認定されなければ、貞操義務違反にならないわけではありません。よく、「最後の一線は超えていない」という抗弁が出されますが、「最後の一線」を超えなくても貞操義務違反になります。

たとえば、

・デートをした
・メールやLINEを頻繁にやりとりし、会話が友人知人の一線を越えている
・手をつないだ
・キスをした
・お互いに裸や体の一部をうつした性的な写真を送りあった

などの場合も、貞操義務違反となります。

(3)お互いが自分の意志で不貞行為を行っている

3つ目のポイントは、「お互いが自由な意志のもと、交際していたか」です。

レイプなどをはじめ、どちらか片方、あるいは第三者から性的関係を強要するような状況での肉体関係であれば、「不倫」や「浮気」とはみなされません。

イルミネーション
写真=iStock.com/Tony Studio
※写真はイメージです

慰謝料を手に入れるには「証拠」が必要

夫が不倫をしていた場合、夫とパートナーに慰謝料を請求することができます。そのためには、「不貞行為があった」と証明する証拠が必要です。

たとえば、

・ホテルからふたりで出てきた場面など、性的関係を思わせる写真
・恋人のように手をつないで歩いている写真
・「愛している」、「結婚したい」など、親密な関係があったことを思わせるメールや音声の記録

など。これらの証拠を確保したら、慰謝料を請求することができます。