将来の女王たちと愛子さまは同世代

スペイン王室では、2005年生まれの長女レオノール王女が将来の女王だ。スペインは男女平等の観点から、男子優先を長子優先にするべきとの国会の動きがあった。男子誕生でレオノール王女の継承順位が下がるのを防ぐためだったが、レティシア王妃の第2王女の懐妊が発表され、緊急性がなくなった。法改正には至っておらず、7つあるヨーロッパ王室で唯一男子優先が維持されている状態だ。

レオノール王女は、13歳の誕生日にスペイン憲法を読み上げることを最初の公務とした。16歳の時には、イギリスのウェールズにある国際的な寄宿学校に入学、一般生徒らとの集団生活を経験している。

これらの国の将来の女王たちは2001~2005年生まれと、2001年生まれの愛子さまと同年代だ。その母に当たる王妃らに目を向けると、興味深い共通点がある。彼女たちは平民、高学歴、結婚前はキャリアウーマン、語学堪能などで、いずれも恋愛結婚である。

オランダのマクシマ王妃はアルゼンチン出身で、ニューヨークで銀行の管理職をしており、デンマークのメアリー皇太子妃はオーストラリア出身で、結婚前はマイクロソフト社で働いた。国際結婚もまったく珍しくない。

日本の皇室は「不平等」の象徴でいいのか

先日、オランダでは「たとえ王位継承者が同性愛でも退位の必要はない」と首相が発言したり、王室専用馬車の側面にひざまずいた奴隷が白人領主にココアなどをささげる様子が描かれているとして、国王が馬車の使用を無期限に停止したりした。「過去をなかったことにすることはできない。しかし過去の汚点を引き継がない」との強い意志が伝わる。王室こそ、人権問題においてリーダーシップを取る立場にあるという考えが根底にあるのだ。

イギリス王室のウィリアム王子は、キャサリン妃の出産をまずツイッターで国民に知らせた。またインスタグラムなどのSNSを使用して、誕生日や記念日などの機会をとらえては国民との距離を縮めている。キャサリン妃のカメラの腕前はプロ級といわれ、撮影する3人の子供の写真は特に人気があり、「開かれた王室」に貢献している。

こうした例を見ていると、皇位継承で男女平等さえ実現できない日本の皇室は周回遅れといえるのではないか。日本の皇室は特別で、ヨーロッパの王室とは違うと主張しても、国際的には理解されにくいのが現実だ。「日本は男子のみでいい」「皇室に変化の必要はない」といった意見も、ただの独りよがりに感じる。

皇居と二十橋
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女性天皇を認めない皇室は、日本社会の男女「不平等」の象徴になってしまっている。国民の7割以上が女性天皇に賛成であるという世論調査やアンケート結果が出ているのに、なぜそれは反映されないのだろうか。今、皇室が変わるチャンスを逃すと、日本の男女平等の実現は大きく遠のいていくに違いない。皇室の「ガラパゴス化」がこれ以上進まないためにも、皇位継承のあり方が国民的な議論となり、進展することを期待したい。

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