少子高齢化の日本では「介護問題」が年々深刻になっている。最新刊『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)で、高齢者の介護と貧困の問題を取り上げた作家の相場英雄さんは「社会を支えるはずの介護業界がブラック化している。そこには若者の善意ややる気を利用する業界の構造がある」という――。(後編/全2回)
相場英雄さん
撮影=宇佐美雅浩
相場英雄さん

往復20時間かけて親を介護する60代男性

前編から続く)

――『マンモスの抜け殻』では、誰もが避けては通れない介護問題を扱っていますが、相場さんご自身は介護の経験はあるんですか。

僕の両親は80代なのですが、幸いいまも新潟で健康に暮らしています。僕自身もそうした状況に甘えて、親の介護からは目を背けてきました。

相場英雄さん
相場英雄さん(撮影=宇佐美雅浩)

ただ、コロナ禍で帰省できなくなり、親の介護について真剣に考えざるをえなくなった。田舎なのでクルマが運転できないと生活もままなりません。高齢者の事故が社会問題化になっているいま、いつまで現状の暮らしが維持できるのか。近い将来、僕が定期的に実家に帰り、ケアマネージャーとやり取りしながら介護をしていくことになるとは思うのですが……。

介護を続ける知人からは切実な話を聞きます。彼は両親の介護のために毎週末、帰省しています。当初は新幹線を利用していたんですが、金がかかりすぎるから、と夜行バスに変えた。往復で20時間。もう60代ですからね。身体にも相当、こたえるはずです。経済的にも肉体的にも精神的にも厳しいなか介護を続けている。