「これほどの収入があっても、こんな借金で破綻するのか!」

カードローンの問題は、借り入れ期限です。

住宅ローンの期限が30年や35年なのに対して、カードローンの期限はほとんどが1~5年。金利も高いので、毎月の支払いは非常に高額となってしまいます。

銀行員時代、「これほどの収入がある人が、この程度の借金で破綻してしまったのか!」と驚くケースを、私は何度も目の当たりにしました。

住宅や車のローンに縛られながら、子どもの学費も、保険の支払いもある。すると毎月15万~20万円くらい、簡単に出ていってしまいます。

給料が入っても、すぐカードローンの返済で取られていくので、毎月ギリギリの状態。根本的な支出をコントロールしなければいけないのに、穴埋めをする借り入れのことばかり考えて、借金を繰り返すハメになるのです。

そもそも傷ができる原因を取り除かなければならないのに、それをせず、次から次へとあちこち生じる傷口に必死で絆創膏を貼りまくっている──そんな状態です。

生活水準がいったん高くなってしまうと、なかなか下げることができません。

しかし、自分や家族のことを考えて、生活水準を下げる勇気が必要です。そうしないと、落ちるところまで落ちる結果になってしまいます。夜逃げ同然で実家に帰らなければならなくなったら、こんな惨めなことはありません。

生活費を補うために、借金の本数を増やすことだけは、絶対にしないでください。借金でしのぐのではなくて、支出を削る努力をするのです。

債務を管理する女性
写真=iStock.com/Rawpixel
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落ちるところまで落ちる人の共通点

まじめで、何事にもねばり強く挑む人がいます。多少のピンチになってもあきらめずに最後までやりとげる。一方、すぐにあきらめてしまう「いい加減な人」もいます。

どちらが仕事ができるかというと、当然、前者のまじめな人でしょう。

ただし、注意が必要です。まじめで、ねばり強い人が、じつは案外、破綻してしまいがちなのです。

私がやっている「アパート経営」を例にとりましょう。ある人が中古アパートを購入して人に貸し出しました。購入当時の利回りは12%で、毎月50万円が手元に残る好物件。銀行融資もすんなり受けることができました。

ところが、物件が古くて、借り手が退室するたびに60万円ほどかけて手直しが必要でした。水回りの手直しで200万円かかったこともありました。リフォームするたびこんなコストがかかるのでは、利益を出すどころか赤字がふくらみかねません。

危ないと深刻に考えてすぐ売ればいいのですが、気づかずに3室、4室とリフォームし経費がかさんでいきました。ここで、まじめで、ねばり強い人は考えます。

「もう4室もリフォームしたんだから、投資した分を取り返さなければ。いままでの人生でも何度もピンチがあった。そのたびに切り抜けてきたじゃないか。自分なら、できる!」