不登校児童の保護者との面談は「労働時間」にあたらない

勤務時間終了後についてはどうか。児童の作文へのペン入れやノートの添削、ドリルのチェック、教材研究、小テストの採点、不登校児童の保護者との面談は、校長の指揮命令のもとに行われた業務ではないので、「労働時間」に当たらないとした。

一方で、教室の掲示物の作成と管理、最低限の授業準備(1コマにつき5分)、業者テストの採点、日直業務(校舎の見回り、施錠等)、週案簿の作成、学年花壇の草取り・管理、学級・学年会計の確認・報告、通知表の作成(児童1人あたり40分)、自己評価シート(人事評価関係)の作成、学年便りの作成、遠足等の校外学習の準備、教室のワックスがけなどは、校長による明示もしくは黙示の指揮命令があったとして、一定の「労働時間」を認定した。

先生たちが自分の判断でしている「ボランティア活動」は多い

詳細は法律論の専門家による解説を待ちたいが、今回の判決文を読む限りでは、最高裁判例に基づき基本的には判断しているが、従来の裁判例よりもかなり広範に時間外の「労働」を認定しようとする裁判所の姿勢を垣間見ることができる。

とはいえ、上記のとおり、朝学習の準備や児童の提出物への添削、保護者面談、教材研究などが「労働」として認められないというのは、納得がいかないと言う人も多いのではないだろうか。言い換えれば、これらの業務は、先生たちが自分の判断でやっているボランティア的な活動ですよ、ということなのだから。