お得感を前面に押し出さないピーチの「旅くじ」
格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの「旅くじ」が好評だ。大阪心斎橋に初めて「旅くじ」のガチャガチャを設置したのは2021年8月。SNSで話題になり、10月には東京、11月には名古屋、12月には福岡と全国4か所に設置された。現在までに約1万5000個が販売されたという。
ガチャガチャは1回5000円。ハズレはなく、行き先指定の航空券が買えるピーチポイント6000円分または1万円分が当たる。カプセルの中にパスワードが書かれた紙が入っており、サイトにそれらを打ち込むとポイントが付与される仕組みだ。
カプセルには行き先と一緒に「ミッション」が封入されている。「一番ハンサムな石垣牛を探してきて」(石垣)、「大宰府天満宮に行って、その後ずっとかしこいフリをして」(福岡)などのほか、「仙台ナンバーの車を1000台数えてきて」(仙台)というダジャレも。まるでテレビ番組のような非日常感がある。
ただし、カプセルの中身の多くは6000円分で、5000円払って6000円分の航空券を買うのでは、1000円しか安くならない。ピーチがこれまでに行ってきた定期的なセールと比べると、割引額だけを見るとインパクトは小さい。「旅くじ」を企画したブランドマネジャーの小笹俊太郎氏は、「お得感よりワクワク感を狙いました」と話す。
「旅くじのコンセプトは『福袋』です。福袋には、安くて服がたくさん入っているお得感重視のものと、お得感はそこそこで、自分で選んでない服との偶然の出合いを楽しむワクワク感重視のものがあります。『旅くじ』は後者のバランスを大きく取って設計しました」(小笹氏)