会社員が、税金を少しでも安く抑えるにはどうしたらいいのか。税理士の高橋創さんは「納める税金額は12月31日までの1年間の年収や生活状況で決まる。税金で損をしないために最終日までに済ませておいたほうがいいことがある」という——。
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12月31日時点で税金額が決まる

私たちはいろいろな税金を払っています。右肩上がりの消費税、喫煙者泣かせのたばこ税、がっぽり持っていかれると話題の相続税。そのなかでも特に、働く人が避けて通れないのが「所得税」と「住民税」です。

今回、着目するのは所得税です。所得税は国に払う税金で、住民税は住んでいる地方自治体に払う税金のこと。どちらも自分の稼ぎに応じて支払う額が決まります。

税制度というのはよくできたもので、稼ぎが多く余裕がある人ほど高い割合で税金を払うという、まっとうな仕組みになっています。しかも、ただ単に年収の数字を見るだけでなく、個々人の事情まで考慮してくれるという気の利きようです。

例えば、年収500万円の独り身と、配偶者と子ども3人を養っている年収500万円の人では、懐具合が違うのは明らかでしょう。その人の状況に応じて税負担を調整すること、これが所得控除という制度です。

状況に応じて控除額が加算されればその分、稼ぎと見なされる金額が減り、それに比例して払う税金も減るというわけです。

また、税金の計算は1年単位で行われます。ここでいう1年とは、年度ではなく、1月1日から12月31日までのこと。つまり、2021年分の税金は、2021年1月1日から2021年12月31日までの年収や生活状況に基づいて決定されるということになります。

そして、私たちの1年のお財布事情が診断される基準日、会社でいう決算日にあたるのが12月31日です。いまからできる“節税”対策は決して多いとは言えませんが、所得控除の仕組みに着目すれば、やれることはまだ残されています。

12月31日が終わるまでに所得控除の額をできるだけ増やす——これが基本となります。本稿では、所得控除の仕組みをご紹介しながら3つの方法を紹介します。