雑音があるからこそ集中できる
現役東大生は小学生のとき、勉強部屋のインテリアをどう工夫していたのか? フリーアンサーをまとめたのが後述のリストだ。
最も多かった「スッキリ派」はものの配置にこだわり、「美しいと思えるように置く」「できる限り、机の上は何も置かない」などと徹底していた。
「収納工夫派」はテストやプリントをきれいにファイリング。「きちんと分類することが物事を俯瞰する能力にもつながるかもしれない」と自己分析している。
しかし、河村さんは自身の子育て経験から整理整頓には向き不向きがあるという。
「子供たちを見ていると整理整頓が好きなタイプとそうでないタイプがいるように思います。片付けが苦手な子に無理やりさせると、不要なストレスを与えかねません」と注意喚起する。
「環境整備派」の「机に向かったとき背後が気にならないようにする」という工夫は、河村家でも心がけていたこと。
「背後に人がいると落ち着かないですよね。ダイニングテーブルで勉強する際は必ず後ろが壁になるようにし、親が見えるようにしていました」
また、「人の目派」は、「リビングに机を置かせてもらい、人がいる中で勉強することで逆に集中できた」「いつでも(家族に)質問できるように」と自らリビング学習を希望していた。河村さんは前述のメリット以外にも、あえて人がいるところで勉強することには意味があるという。
「リビングはほかの家族の生活音がすると思いますが、雑音こそ大事なんです。入試本番の会場でも他の受験生が鉛筆を走らせる音などが響くので、普段から雑音があっても集中できるよう鍛えておいたほうがいいと思います」
リビング学習のデメリットを挙げるとするなら、子供が集中している横で大声で話したり、大きな音を立てて家事をしたりはしにくく、家族が気を使うという点。しかし、「マイナス面もありますが、小学生のうちは、リビング学習のメリットのほうが大きい」と河村さんは話す。
いずれにせよ「学習スペースづくりは、親が主導権を握れる低学年のうちに始めるといい」と河村さんは言う。高学年になったら、将来を見据えて何のために勉強するのか話し合い、子供自身が納得する形で環境をつくっていくことが重要だと河村さんは考える。
「そうでなければ“自立”の前に“自律”ができません。自分の目標を達成するため、勉強する環境も自分が心地いいようにコントロールできる子になってほしいですね」