ガーナでは25年間で繊維業の雇用が80%減少
地元で生産される服よりも、輸入された古着は安く手に入る上に、日常生活で着用する分には問題ないクオリティの服も多いです。また、輸入された古着の修繕をしたり、販売したりすることで生計を立てている人もいるため、先進国からの古着が現地に雇用を生んでいる側面は否定できません。
その一方で、先進国からタダ同然の古着が大量に輸入されれば、現地の消費者はそちらに流れてしまい、地元の繊維産業が成長することは妨げられてしまいます。実際にアフリカでは、先進国から大量に流入してくる古着のせいで地元の衣類製造工場が閉鎖に追いやられ、繊維産業に携わっていた多くの地元民が職を失ってきました。
例えばガーナでは1975年から2000年にかけて繊維・衣料品関連の雇用が80%減少しており、ザンビアでは1980年代には2万5000人だった労働者が、2002年には1万人を下回っています。
古着のせいで地元で生産される服は売れにくい
私が国際協力の活動をしてきたウガンダでは、衣料品購入の81%は古着が占めていると言われています。実際に現地で目にしていた衣類のほとんどは国外からの古着でしたし、この数字は体感的にもそれほど大きく逸れているとは思いません。洋裁ビジネスをするウガンダの女性からは「古着のせいで地元で生産される服は売れにくい」といった悩みを耳にすることもありました。
もしも現地の人たちが国外から輸入された古着ではなく、地元で生産された服を購入していれば、何が違っていたでしょうか。おそらく地域の経済が回り、現地の雇用が増え、先進国からの「お下がり」に依存しない自立した経済体制を作ることができていたはずです。