転売や寄付で毎年大量の古着がアフリカへたどり着く

「海外」とはいっても、他の先進国ではすでに古着が余っています。ファストファッションが浸透し、大量生産・大量消費が当たり前だからです。そのため、先進国で回収された古着は途上国、そしてその多くは最終的にアフリカへ辿り着くのです。

このような古着の輸出は先進国では一大産業になっていますが、転売という形だけではありません。「寄付」という名目で、アフリカに送られている場合もあります。

アメリカやヨーロッパ、さらには日本でも、自治体や企業、チャリティ団体が古着を回収し、アフリカの貧しい人たちに寄付をする。そんな活動を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

古着の「最終処分場」となるアフリカの実態

先進国の人たちは不要になった古着を処分できて、アフリカの人たちは安価、もしくはタダで古着を手に入れることができる。互いに助かっているのだから、ウィンウィンじゃないか。そのように感じるかもしれません。

もちろん古着の輸出が現地にメリットをもたらすこともあります。例えば難民キャンプなど物資が圧倒的に足りていない地域であれば、先進国から輸入された古着を手に入れることができれば、一時的には助かる人も多いはずです。

しかし、「アフリカでは服が足りていないのだから、先進国から古着を送ってあげれば現地の人たちが助かる」というのは、必ずしも正解とは呼べないようです。

ケニアやウガンダ、タンザニアなどが構成している東アフリカ共同体では、古着や靴の輸入額は1億5100万ドル以上(2015年、日本円に換算すると約170憶円)、ケニアだけでも毎年約10万トンの古着が輸入されています。

技術面で進んでいる先進国側でさえも、大量に余っている古着を処理しきれていないわけですから、ゴミ処分場などの施設が不十分なアフリカの国々で、大量の古着を処理することは到底できません。

実際に私が活動するウガンダでも、街中の至る所で先進国から輸入されたと思われる古着が山積みになって売られていますし、処理しきれない大量の古着が現地の環境問題に繫がっているという話も耳にします。他にも、西アフリカのガーナでは毎週1500万着の古着が輸入されていますが、近年はファストファッションなど低品質な古着が占める割合が増えており、売れなかったものは最終的に埋立地へ流れ着いています。ガーナに輸入されている衣服の約4割が埋め立て処分されていると考えられているのです。