論点が違う記事が「おすすめ」されていた
ただ第3の違和感は、そのITジャーナリストの記事がこのように紹介されることで、問題の論点をすり替える効果を持ってしまっている点です。この方は、自分の端末で100回以上やってみたけどすべて正常に動いたといいます。それはそうでしょう。一部の利用者に障害が起きているのがこの事件の特徴ですから。
ところがそれに続いて、独自研究でこれに「近い状況を疑似的に作ることができます」として、自分のiPhoneとは別のアンドロイド携帯にRakuten Linkを入れてログインするとアンドロイド携帯の方に着信してしまう現象を紹介しています。Rakuten Linkアプリを入れたiPhoneをログアウトせずにアンインストールすると受信しなくなるという話も書かれていますが、どちらも今回の現象とは全然違う問題です。
今起きている事件はそうではなく、新規のiPhoneを楽天で契約した人の一部に初日から着信障害が起きている話であり、それがあらゆる手を試しても直らないという障害です。記事で書かれたような、ユーザーが通常は行わない操作をして起きるミスの話が社会問題になっているわけではないのです。
現象面では正しい内容だが、紹介のされ方に問題がある
この第3の違和感の正体はネット上のフェイクとニアフェイクの境界線問題です。インフルエンサーであるこのITジャーナリストの方は現象面では正しい記事を書いているので、それ自体は別に問題はありません。ただ「ココがポイント」として、この方の記事を事件解説の記事として紹介することで、読者が事件を誤認してしまうという別の問題がおきます。
フェイクニュースが問題になって排除されつつある昨今、あからさまなフェイクではないけれども、やはり読者を誤認させるニアフェイクはこれから増えていくと思います。事件をインフルエンサーたちがどう広めていくのか自体が、新しい社会問題になるということがこの3番目の違和感の正体だと思います。