大手新聞社が積極的に報じないのはなぜか
2.メディアへの違和感
今回私がこの事件を知ったのは自分が当事者となった11月下旬でした。調べてみるとネット上では結構有名だったこの事件、今回産経新聞が報道するまでは大手メディアの記事では一切見かけませんでした。そして今でもほとんど報道されていない状況には変わりありません。なぜか? というのが第2の違和感です。
日本の大新聞はタブーを扱わないという傾向があります。簡単に結論をいえば、大量の広告を提供する楽天モバイルはそのタブーに入っているのでしょう。そう推察できる根拠をお話ししたいと思います。
日本の大新聞はセクションに分かれていますが、中でも政治部の記者は知っていることに事欠きません。1974年に有名な立花隆さんによる「田中角栄研究」という記事が文藝春秋に発表され、田中内閣退陣のきっかけとなりました。
世間的に大きな反響を呼んだこの記事に対して、大新聞の政治部の有力記者が「あんなことはオレたちはもっと前から全部知っていたよ」と偉そうに話していたというエピソードがあります。政治部の記者が知っていることを書かないのは、政治家の懐に深く入るのが彼らの仕事だからです。有力官僚が賭け麻雀で退任した事件がありましたが、そのときの麻雀相手も政治部記者でした。新聞社は本当は記事以上の情報をたくさん知っています。
ただ自浄能力として社会部の記者は事件を書きます。これが、私たちが知っているタブーを扱う際の新聞社の作法でした。ところがこの10年ほどの間に、記事を掲載しない判断は組織のより上の方で決められるように変わったといいます。新聞が沈みゆく業界で、生き延びるためのお金が重要になってきていると聞けば、このメカニズムも理解できるでしょう。ますます日本の新聞社は書けない記事を増やしていることが第2の違和感の正体だと思います。
続報の際に、ある記事が紹介されていた
3.インフルエンサーへの違和感
私の記事はヤフーニュースでもピックアップしていただきました。そこまでは嬉しいことなのですが、その後、総務省が動き出したことを伝える報道機関の記事のタイトルをクリックすると、「ココがポイント」というアイコンとともに別のITジャーナリストの方の記事が、この事件の概要を紹介する記事として登場するようになりました。ヤフー個人に掲載された「楽天モバイルでiPhoneに着信しない問題とは? なにが起きているのか」という記事です。
あらかじめ申し上げておけば、2番目の違和感と同じ原因で、ヤフーにとっても楽天モバイルは広告の上得意客です。ビジネスでメディアをやっている以上、広告スポンサーへの忖度が働くのは当たり前だとビジネス専門家の私は考えるので、そこにはこれ以上の違和感はもちません。