脱炭素化への流れ

ベネズエラはマラカイボ湖に油田があり、低コストといっても、サウジに比べれば5倍ほどだ。

米国のシェールガス、シェールオイルも掘削コストが高く、経済原則から40ドル以上なら参入が増え、40ドル以下なら経営が立ち行かない。

ロシアのような全体主義国家は、損益分岐点がいくらだろうと石油や天然ガスを採掘する。独裁体制を維持するには売り続けるしかない。少し前まで弱っていたプーチン大統領も、原油高騰で自信満々になっている。

原油価格は各国の思惑で決まるとはいえ、今後は化石燃料への投資が絞られ、原油などの生産量は減っていくことは間違いない。脱炭素化の流れだ。

21年10月末から約2週間にわたって英国で開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、日本を含む120以上の国と地域が、50年までにカーボンニュートラルを達成することに合意した。CO2などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるというのだ。

しかし私はあまり信用していない。各国のリーダーは、30年後には全員が入れ替わっているからだ。責任を追及されない目標は信用できない。英国に集まった世界中の政治家と役人は約束を守れないだろう。

CO2排出量が世界一の中国はマイペースだから、カーボンニュートラルは60年に達成すると10年延長した。彼らの辞書には「自分がやることは世界で最も正しい」と書いてあるらしい。しかも本気で取り組むとは思えない。習近平は“永久皇帝”になったとはいえ、任期はせいぜいあと2期10年くらいだ。

世界の政治家がカーボンニュートラルを目指すのは正しいが、政策が実現しないことはいくらでもある。日本のインフレ政策が、9年たっても2%を達成できないのを見てもわかるだろう。

COP26で途上国は、カーボンニュートラルの50年達成に反発した。先進国からの資金援助がないと進まないのだ。先進国は09年に、途上国に対して20年までに年1000億ドルを支援すると約束したが、守っていない。途上国はCOP26で資金援助の増額を訴えた。先進国は支援強化を表明し、岸田首相も追加支援すると演説した。

例えばインドも、中国と同じ60年達成を目標としている。収入が1日200円以下の人が多い国や地域は、先進国の助けがないとカーボンニュートラルの達成は困難だろう。

大きな見方でいえば、米国と中国がCO2排出量を激減させ、インドが排出量を増やさないだけでも、世界はカーボンニュートラルに近づくはずだ。

温暖化で心配されることの1つに海面の上昇がある。何も対策しなければ、今世紀中に2メートルほど上昇するとの予測もある。