コロナ禍が人々のやる気を奪った「本当の理由」
では、なぜ、新型コロナウイルスの影響で、多くの人がこの最も強力な「ギャップモチベーション」を感じられなくなっているのでしょうか。
それは、コロナ禍により、多くの人が行動の制限を求められるようになったからです。行動が制限され、今まで以上に同じことばかりを繰り返す毎日になりました。当然、変化も刺激も少ない日々を過ごすことになります。
その結果、自身の理想とするビジョンを思い描き、「いい未来」のイメージを持つ機会が激減してしまいました。人によっては、「将来への希望を持つことができなくなった」という人もいるかもしれません。
ポジティブな将来の姿(理想)を思い描けなくなったことで、私たちの中では、理想と現実にギャップを感じることがなくなり、そのため、「ギャップモチベーション」が発動しにくくなってしまったのです。
こうして多くの人が、「身体は元気なのに、イマイチやる気が出ない」と、自分でも理解できないおかしな状態に陥る現象が、どんどん広がっていきました。
東京オリンピックの延期をアスリートはどう乗り越えたか
でも、そんな世の中でも、「超一流」といわれる人はやはり「ギャップモチベーション」を味方にすることができています。そして、抜きんでた成果を残し続けています。
最もわかりやすい例は、東京オリンピックで活躍したアスリートの方々でしょう。
なぜ、超一流のアスリートは、オリンピック出場の保証もない4年間もの長い時間をかけ、生活のすべてをなげうって「努力」を継続することができるのでしょうか。人間ですから、「今日は練習をしたくないな」と思う日ももちろんあるはずです。
ところが、彼らには「オリンピックに出場する」「金メダルを獲得する」という理想が、みずからの頭に、そして、ハートに強く強く刻まれています。
だからこそ、練習に対しやる気が起きない日であっても、「今の練習量じゃ、今の技術じゃ、金メダルなんて獲れない!」と、理想の自分と現実の自分のギャップを感じます。そして、そのギャップを感じるからこそ、みずからを奮い立たせ、いついかなるときでも「練習」という行動を起こすことができるのです。