心理学、脳科学から見た「やる気」を出す正しい方法

新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピックは1年延期されました。アスリートにとって、モチベーションを保つことは容易ではなかったはずです。4年間かけて必死に準備をしてきたのに、無情にもその苦しい時間が1年延びてしまったのですから。

しかし、多くのアスリートが、今年ようやく開催された東京オリンピックで、目いっぱいのパフォーマンスを発揮していました。

世界的な感染症の拡大で開催延期となるというオリンピックの歴史上初めての事態に直面し、気持ちが切れかけたアスリートも多くいました。でも、彼らがギリギリでそのモチベーションを保つことができた理由はやはり、最終的に「オリンピックで金メダルを獲りたい」という情熱が勝ったから。「表彰台の真ん中に立っている自分の未来の姿」を脳裏に描き、その理想がブレることが片時もなかったからでしょう。

コロナ禍であっても、その理想とする自分の姿から目を離さないでいた。だからこそ、理想と現実のギャップを埋めるべく、淡々とそのギャップを埋める行動をすることができていたのです。

これは、特別なアスリートだけの心の働きではありません。あなたにもそのメカニズムが埋め込まれています。

どんなに困難で、悲観的な状況であったとしても、未来に希望を描き、自分の理想とする姿、キャリアを考えるというのは、心理学、脳科学の視点から見ても正しく、やる気を起こすうえで重要なことなのです。

金メダルを掲げる手
写真=iStock.com/BrianAJackson
※写真はイメージです

ヒントは「過去」にあり

とはいえ、中には「自分の理想的な未来やキャリアなど想像できない」という人もいるかもしれません。将来になかなか希望が持てない、理想とする自分の姿、キャリアなんて考えられない、今で精いっぱいなんだ、という人々です。

そういう人たちにも、ちゃんと科学的な対処法が用意されています。

おススメしたいのが、過去に自分が充実していたとき、楽しかったとき、成長を感じていたとき、仕事で成果を上げたときなどの「五感の情報」をすべて思い出す、という方法です。

五感の情報をすべて思い出すとは、単純にその事実を思い出すだけではなく、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、体感覚を使って、「あのときどうだったかな?」とリアルに思い出すことです。