2009年11月の完全失業者数は331万人、完全失業率(季節調整値)は5.2%だった。しかし、完全失業者には仕事探しをあきらめた人は含まれていない。実は、日本ではこうした就業意欲喪失者の割合が大きく、最大約160万人いるといわれている。
完全失業者にこの160万人を加えると、失業率は7%台後半に達する。過去の失業率のピークが09年7月の5.7%なので、その深刻さはわかるだろう。
さらに、日本銀行の雇用人員判断DI(企業雇用者の過剰や不足を判断する指標)などを使い、私が企業内の潜在的な雇用調整圧力を人員に換算したところ、09年7~9月期には335万人の余剰労働力が生じていることが判明した。同年4~6月期の429万人よりは減ったものの、この数値は01年のITバブル崩壊当時に匹敵するものだ。
実は、従業員を解雇せず一時休業させた事業主に賃金の一部を補助する雇用調整助成金の支給期間(3年間で300日)の期限がそろそろ切れ始める。助成金の対象は約200万人。期限が切れてもすべてが失業するわけではないが、今後の景気回復が遅れたり、二番底が到来するなどの事態になれば、さらに失業者が増える恐れもある。
幸い、アメリカの景気も少しずつ持ち直し、エコカー減税やエコポイント制度などの景気刺激策によって、一時期心配されたほどの状態にはなっていない。
ただし、私が最も心配しているのがデフレの進行だ。需給ギャップが進み、設備稼働率が低く、人が余っている状況で、物価は下がらざるをえない。企業の利益は増えず、さらにコスト削減に走って、賃金を抑えようとする。実際、この冬のボーナスはかなり下がった。賃金が減れば、家計は苦しくなり、安いものしか買わなくなる。こうして、デフレが進み、内需は縮小均衡に陥っていく。