「厳しさが必要」と言う親が勘違いしていること
ブラック部活関連の保護者への取材で、以下のような言葉が発せられることがある。
「顧問は決して褒められた指導ではないかもしれないが、厳しさは必要だ」
「褒めるだけでは強くなれない」
「たまにはゲンコツをして喝を入れることもあっていいと思う」
聞いていてこれは子供のためにならないかもと思い、時折こちらから意見することもある。
――厳しさって何ですか? 休むな、サボるな、今頑張らなくてどうすると大人が横について言い続けますか? 自分で気づいて、自ら動ける子にしか成長はないですよ。その子が自分の甘さに気づくまでほったらかすのが、実は一番厳しい大人じゃないですか? 皆さんの子育ては、子供を甘やかしていませんか?――
しかしながら理解してくれる人はとても少ない。多くの人が「頭ではわかるけど、心がついていかない」と言う。心がついていかないのは、保護者自身が自分の「頑張ってきた過去」を意味のないものと考えたくないからではないか。これは指導する側も同じかもしれない。
お父さんもお母さんもよく頑張ってきたね。でも、これからの子供は、私たちとは違う環境で育てよう――そんなふうに保護者の気持ちにまずは寄り添う必要がある。
少しずつではあるが、暴力やパワハラを続ける顧問は、そのことが明るみに出ることで淘汰されている。そこで顧問自身も社会的制裁を受け、悪くすれば指導者の道を絶たれる。彼らの人生を救う意味でも真のグッドコーチを目指す再教育が必要だろう。