自動車を輸出してきた日本に大きなマイナス
中国は雇用確保のために重視してきた8%成長の維持が困難になり、徐々に安定成長期に入りつつある。共産党政権が高い経済成長を目指して求心力を維持しようとすることは難しくなるだろう。習政権は批判や不満を抑えるために、強く厳しい姿勢で社会と経済を統制しようとする可能性が高い。やや長めの目線で考えると、前期比で見た成長率がマイナスに落ち込む景気失速のリスクも排除できない。
それは、自動車を中心に中国の需要を取り込んで景気の持ち直しと安定につなげたわが国経済にとって大きなマイナスだ。中国からのインバウンド需要がコロナ禍以前の状況に戻るとも限らない。中国経済の成長率鈍化が鮮明となれば、わが国の景気持ち直しペースの弱さは一段と意識されるだろう。個人消費の鈍化や、設備投資や中国向けを中心とする輸出の減少によって、わが国の経済と社会の閉塞感が高まる展開は軽視できない。