親のカードで高額の投げ銭をする子どもたち

「投げ銭をすると配信者が喜んでくれるからと小学生の子どもがはまり、保護者のクレジットカードを無断で使用して10万円も使い込んでいた。どうすればいいのか」という相談を受けたことがある。コロナ禍で出会いや交流の機会が乏しくなり、オンラインでのやり取りにはまってしまったというわけだ。

NHKの報道によると、全国の消費生活センターには、2021年1月から10月までに投げ銭の使いすぎなどで102件の相談が寄せられている。昨年の相談件数は21件で、すでに大幅に上回っている。

こうした相談では、「未成年が保護者のクレジットカードやキャリア決済で勝手に課金してしまった」という内容が多く、700万円も投げ銭してしまった高校生のケースも報告されているという。子どもがパスワードを知っていたり、クレジットカードを紐付けたアカウントにログインしたままで子どもに利用させるとこのようなことが起きてしまう。

スマホでゲームをする女の子
写真=iStock.com/show999
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未成年の不正利用を防ぐため、多くのサービスでは、課金する際に年齢や保護者の許諾を確認している。これは、あくまで自己申告制なので、不正利用そのものを防ぐ効果はほとんどない。それでは、なぜそうしたメッセージが出てくるのか。それは事業者が課金という契約の有効性を示すためだろう。

ゲーム業界は高額課金騒動を機に自主規制

未成年の契約では、保護者の同意を得ていない場合、「未成年者契約の取り消し」(民法第5条第1項、第2項)によって、課金を取り戻せる可能性がある。ただし前述のように、年齢確認や保護者の許諾を確認するメッセージを出すことで、契約の有効性を示そうというサービスも多い。不正利用を申し出ても、返金されるとは限らないので、注意が必要だ。

2012年にはソーシャルゲームの高額課金が「コンプガチャ騒動」という形で社会問題になった。その際、ゲーム業界は未成年の課金に対する月額上限を決めるなどの自主規制を行った。

ライブ配信や投げ銭は、今後も拡大していきそうだ。しかし問題のある配信の制限や未成年の投げ銭の上限設定など、健全な市場をつくるために実効性のある対策を導入するべきだ。自主規制が遅れれば、社会問題となり、法的規制に発展する恐れもある。各事業者は、目の前の収益よりも、市場の将来を考えるべきだろう。

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