「iDeCo」には安くない手数料がかかる

またiDeCoには安くない手数料がかかります。

金融機関によって手数料は異なりますが、iDeCo口座を開設する際に3000円程度、口座管理手数料として年2000〜7000円程度の手数料がかかり、口座から自動的に引き落とされます。

iDeCoには、リスクのない預金もありますが、ただ安くない手数料を払わなければいけないので、預金をするのは損ですから、投資商品を選ぶしかありません。

それで年金が確実に増えるのならよいのですが、投資なので儲かるとは限りません。途中で運用商品をチェンジすることはできますが、ただ運用の知識のない人には難しいことでしょう。

安定と書かれた隣のソファに沈む人形
写真=iStock.com/BBuilder
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60歳までの長期運用をする最中には、リーマン・ショックのような金融危機や東日本大震災のような大規模自然災害と遭遇してピンチになっても、繰り返しになりますが、iDeCoは60歳になるまでは引き出すことができずに、しかも手数料を払い続けるのです。

このコロナ禍にしても誰が予想できたことでしょうか。緊急事態にもかかわらず、自分のお金を解約することができないなんて、欠陥商品もよいところです。

国の口車に乗せられて元本保証のない積み立て投資を、コツコツ手数料を払いながら実行するのは、お金も時間ももったいない話です。

「NISA」は最長10年まで非課税

「NISA」の正式名称は、少額投資非課税制度といいます。NISAという金融商品があるのかとよく勘違いする人が多いのですが、NISAとは「NISA口座の中の資金でやる投資なら非課税にする」という制度です。

通常は、投資で儲かると利益に約20%の税金がかかりますが、NISAで取引すれば、値上がり益から税金が引かれません。配当金にも税金がかかりません。

NISAでの取引は、毎年120万円以内で買うことができ、5年間で最大600万円の投資額に対して非課税となりますが、5年間の非課税期間が終了したのちは、①運用益非課税で売却する、②課税口座に移す、③翌年の非課税枠に移す(ロールオーバー)、の3つの選択肢から処理をします。

現在の制度では、ロールオーバーすれば最長10年まで非課税になります。

実質的な利益はゼロなのに、税金だけを引かれることも

NISAは投資ですから、100万円の株が150万円になることもあるでしょう。この場合、通常の証券口座なら値上がり益の50万円に対して約20%の10万円が税金として引かれます。けれど、NISAの口座なら非課税ですから、50万円が丸々手取りになり、税金の10万円ぶんが儲かるということになります。これがNISAのメリットです。

ただ、投資である限りは、投資商品が値下がりするリスクもあります。

たとえば100万円で買った株が50万円に値下がりしてしまったらどうでしょう。

多くの人は値下がりすると損を確定させたくないので、そのまま口座に放っておいて100万円に戻るのを待つ「塩漬け」という状態にしがちです。