住民からのクレームが立て続けに入ることも

窓口にいれば、来客用駐車場にクルマを停めたい外来者、工事業者などに一時駐車許可証を発行したり、フロントマンとの連絡、住民からのクレーム対応などがあり、理事会の議事録の作成や文字校正、できあがった議事録を印刷し、全戸に配布したり、といった業務もある。

それ以外にも住民からの苦情処理や、その内容を周知するための貼り紙の作成、理事長への連絡と承諾、各種文書の配布、館内各所の目視点検、残留塩素の測定週1回の水道親メーターの点検など、細かいことをいちいち書きだせばきりがない。項目だけでも数十に及ぶ。

午後5時をすぎると窓口を閉め、いったん自宅(管理員室に併設)に戻り、私事を済ませたあと、その日最後の巡回をする。夕方の巡回時間は、季節にもよるが、基本的には館内照明が点灯してからのこととなる。

蛍光灯
写真=iStock.com/Aleksandr Golubev
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というのも、蛍光管が切れているかどうかは、照明が点かなければわからないからである。これがざっとした私のルーティンである。住民からのクレームが立て続けに入ることもあれば、なにごともなく穏やかにすごせるときもある。なにもないときは本当にほっとする。

管理員室に併設された管理員の居室は2DKが一般的。平米数は他の住戸とほぼ同じだが、管理事務所も併設している分だけ居室が狭い。そんな“わが家”は、6畳間と4畳半の2室。そして6畳のダイニングキッチン、バス・トイレ付き。家賃はタダだ。水道料金と電気代も、管理組合の経費として落ちるため、払う必要がない。ただし、ガス代だけは個人持ちとなる。

掲示板や壁に警告文を貼っているマンションは管理が行き届いていない

一般的にいって、掲示板や壁、エレベーターなどに警告文を書いた貼り紙の多いマンションは管理が行き届いていない。しかも、その警告文が何年にもわたって掲示してあるマンションほど性質たちが悪い。

この業界に初めてご厄介になったとき、研修させていただいた管理員さんに言わせれば、そういうのは管理員の怠慢以外のなにものでもないのだそうだ。たとえば、自転車置き場。

たいていの駐輪場には、「自転車は所定の場所に置きましょう」「ここはバイクの置き場です」「ほかの人の邪魔にならないよう整理整頓しましょう」などと書いてある。つまり、住民に注意を促すことによって、使い勝手のよい駐輪場にしようとしているわけだが、その管理員さんに言わせれば、それがそもそもの間違い。

貼り紙は一度読めば、そのあとは無視されるものであって、抑止効果にはならない。あって1日程度。むしろ、管理員の駐輪場管理の仕方が悪いことの証明になるのだそうである。では、どうするか。その管理員さんがこう教えてくれた。

まず貼り紙の類いは一切しない。その手のものはすべて外す。そして誰かが変な停め方をしていても、見て見ぬふりをするのだ。

「そんなことをすれば、ますますひどくなるじゃないですか」

どちらかといえば、人間性悪説を認めている私。人間、根本的にはラクをしたくて生きていると思っている。