日本だけがものにできた、世界に誇る先端技術

そこで欧州はプラグインハイブリッド(PHEV)の燃費基準を、電動走行部分を過大に評価するものとしてそれに力を入れている。

しかしガソリン走行時の燃費は依然として褒められたものではなく、たとえばBMW3シリーズのPHEVモデル、330eの日本基準(WLTC)の燃費は13.5km/lだが、同じエンジンを積むガソリンモデルである320iはなんと13.8km/l。PHEVでない普通のガソリン車のほうが好燃費なのである。PHEVにすると重くなってしまうため、ハイブリッドモードでも燃費が悪化してしまうのだ。

しかしヨーロッパ基準ではプラグイン充電での走行距離66kmを勘案し、なんと76.9km/l(WLTP)と評価され、素晴らしく環境に良い車と見なされているのだが……(320iのヨーロッパ基準の燃費は14.9km/l)。

このように欧州メーカー(および米国メーカー、そして中国メーカーも)は優れたハイブリッド車が開発できなかったため、やむなくより単純な技術で作れるEVおよびまやかし基準のPHEVに特化しているのである。

ハイブリッドはガソリン車とEVの中間にあるもはや時代遅れの技術、という見方が根本的に間違っていることをご理解いただけたであろうか。ハイブリッド技術とは、日本だけがものにできた、世界に誇る先端技術なのである。

忖度なしで試乗してみた

そこで最新のハイブリッド車を実際に体験してみることにした。乗ったのは日産ノートE-POWER、ホンダフィットe:HEV、トヨタヤリス・ハイブリッドである。

試乗コースは、私の住む神奈川県藤沢市から伊豆の河津町までのルートで、往路は国道134号線から西湘バイパスを経て箱根新道で箱根を越え、国道1号線を三島まで下って伊豆縦貫自動車道―国道414号線を通るルート、帰路は国道135号線で海岸線を通るルート(西湘バイパス以降は往路と同じ)である。

試乗した日はそれぞれ異なるが、交通環境はほぼ同じだったので、燃費のデータは比較して問題ないと思う。

①日産ノート

最初に試乗したのがノートであるが、運転感覚がEVに非常に近いのに驚いた。アクセルに対して車両の反応が素晴らしく良く、またアクセルを離すとすぐに減速するので、ほとんどブレーキを踏む必要もなく自分の思い通りに走れることに感動した。

日産ノートの実測値
写真提供=筆者
日産ノートの実測値

普通のガソリン車との違いを一番感じたのがこの車である。往路の燃費は24.9km/l、復路は29.1km/lという優秀なものだった。