傍観者はいずれ自身が「働かないおじさん」になる

一義的には、こうした問題を解決するのは、組織をマネジメントする経営者・人事・上司の役割であると考えています。しかし一方で、若手を含む同僚や部下が、単に問題の解決を経営者や上司任せにすることは反対です。問題の傍観者や批判者でい続けることは楽な事ですが、本人たちにとって中長期で決してプラスにならないと考えています。

「面倒な問題の解決を上に委ねる」「批判はするが行動はしない」「嫌になったら、すぐに会社を去る」というだけの人は、シビアな言い方ですが「自分で環境を改善するための変化や行動を起こしていない」点で、数年後には自身が「働かないおじさん」になってしまう危険性が高いようにも感じます。

必ずしも、「無理して会社に残れ」「上司の無能まで部下が背負え」というつもりは無いですが、「自分の立場で、職場を良くするためにできることは無いか?」という思考は、持っていた方が市場価値の高い人材になれる確率が上がります。

とは言え、「働かないおじさん」に対しての必要なアドバイスを思いついたとしても、実際は年長者だったり職位が上の人だったりするので、直接意見するのを躊躇しがちな気持ちも分かります。

言い方や言う場面を間違えると、トラブルを誘発する可能性もあります。

そんな場合、「働かないおじさん」や自分の上司を巻き込んで上手く動いてもらうことも、一つの解決策になります。このように、部下が上司を動かして、仕事の目的を達成しようとする行動を、「ボスマネジメント」と呼びます。

自分一人で「働かないおじさん」に向き合ってはいけない

ボスマネジメントでは、「上司の視点で、抱えている課題やニーズをくみ取りながら提言をしていく」ことがポイントです。

自分(部下)の視点だけで「こういうことに困っています」「こうしてください」と要求するだけだと、複数の課題や緊急性の高い問題を抱えている上司にとって「動く動機付け」が持てず、優先順位が上がりません。

「上司としては、どんな問題が解決できると嬉しいのか」
「組織を、どういう状態にしたいのか」
「上司の上司は、私の上司にどんなことを期待しているのか」

など、「上司のニーズ」を想像しながら、そこと「自分の希望」を重ねる文脈を探してみましょう。

例えば、「働かないおじさん」直属の上司は当然、この問題を自らの課題として捉えているので、相談しやすい上司と言えるでしょう。

「自分としては、あの先輩にこうなってほしい」「その状態は、上司にとっても望ましい」「その状態は、先輩本人にとっても望ましい」というゴールが共有できれば、「その実現に向けて、上司にやってほしいこと」「同僚として協力できること」「本人が努力すること」が議論できるようになります。