直系も傍系も、血縁のない知人・縁者も入れてあげる寛容さが必要
いまはやりの樹木葬などは、おひとりさまで入れるものが多い。こうした永代供養は(墓地管理者の規定にもよるが)生前に予約購入をしておくことで、本人の死後、たとえば23回忌とか33回忌の節目まではそこで供養してくれることが多い。契約期間が過ぎれば、合祀(不特定多数の遺骨を一緒に祀る墓に移動)される。
お墓に入りにくいおひとりさまの受け皿として、海洋散骨も人気である。現在、海洋散骨は全埋葬数のうち1%ほどを占め、将来的には2%ほどまで伸びていくと推定されている。おひとりさまの増加が背景にあると考えられる。
しかし本来は、単身女性は一族の墓に入るのがベストである。そうすることでコストも抑えられ、長い期間、供養を続けることができる。また、男女を問わず単身者は堂々と墓の継承者になるべきである。墓や法事にかかるコストは親族で分担し、親族全体で墓を護持していくのが理想的だ。
現代の墓問題は多くが、「イエの墓」という古い概念の継承意識と、きょうだいや親族仲に起因する。むしろ、後者の関係性が良好であれば、全てが解決する問題でもある。
先祖代々、受け継がれてきた墓ではあるが、直系傍系に関係なく、また、血縁のない知人・縁者も入れてあげるくらいの寛容さが、寺にも墓地継承者にもほしいと思う。