「おごり・おごられ論争」に新たな火種が…
いつまでも終わらない論争のひとつに「デートでは男が払うべきか?」という「おごり・おごられ論争」というものがあります。「住居は賃貸か? 持ち家か?」と同じように、時折、思い出したようにこの話題がネットを賑やかすのですが、また新たな論争の火種となるかもしれない調査結果が発表されました。
これは内閣府男女共同参画局が実施した「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査」といわれるもので、20代~60代の全国男女約1万人が対象者です。無意識の思い込みを調査したというわりには、質問にそのまま回答するだけの意識調査形式となっていて、これで無意識下のバイアスが検出されるのかどうかは疑問ですが、それは置いておいて、今回のテーマである「おごり・おごられ論争」に関わる項目に着目してみましょう。
「男がおごるべき」実は男性側の理論だった?
質問は「デートや食事のお金は男性が負担すべきだ」となっており、それに対し、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階で回答するものです。「そう思う」「どちらかといえばそう思う」というTOP2を「男がおごるべき派」とすると、全年代平均で男性37.3%、女性22.1%という結果となりました。
内閣府ではこの質問をした調査ははじめてらしいですが、私は2015年から継続的にこの調査を男女配偶関係別に実施しています。それによると、多少のバラつきはありますが、大体どの年でも男性は35~40%、女性は20~25%の間におさまっています。ほぼ内閣府の調査と同じと言えます。
さて、ここで、違和感をもった読者もいるのではないでしょうか?
そもそも「おごり・おごられ論争」の論点は「男はおごるものだと主張する女」vs「女はいつもおごられて当然と思うなという男」という構図だったのではないでしょうか。しかし、この調査の男女差をみると、「デートでは男がおごるべき」と考えているのは、女性のほうではなく、男性のほうが多くなっています。言い方を変えると、「男はおごりたい」「女はおごられたくない」ということになるわけです。「おごりたい男」が多数なら本来「俺がおごるって言ってるのにどうして断るんだよ」的な論争になるはずなのに、実際は正反対です。
なぜ、そんな奇妙な現象になるのでしょうか。