正月の箱根駅伝本選への通過枠「10校」をめぐる熾烈な戦い
10月23日に行われる箱根駅伝予選会。正月の本選への通過枠「10校」をめぐる戦いは熾烈を極めている。
昨年は専修大が7年ぶりの通過を決めた一方で、本戦に18年連続出場中だった中央学院大が落選。一昨年26年ぶりの突破を果たした筑波大もボーダーラインに18秒届かない。1人あたり2秒差が明暗を分けたことになる。
少子化が続くなかで、入学者が定員に満たないケースも増えている私立大学では生き残りをかけたバトルが激化している。その状況下で箱根駅伝が果たす役割は大きい。25%以上の視聴率を誇る国民的超人気番組に“出演”することで大学の知名度とブランド力をより高めることができるからだ。
大学にとってみれば、いわば宣伝マンとなってくれる長距離部員の活躍は生命線のひとつ。現在、40校ほどがスポーツ推薦を充実させるなど、箱根駅伝を目指して本格強化を図っている。
だが、それはそう簡単に成しえるものではない。有望な人材は、優勝争いをする有名大学に行ってしまうことが多いからだ。そこで、その他の大学は智恵を絞ることになる。例えば、戦力アップとして留学生ランナーを起用することだ。
激選必至の予選会に過去最多12人のケニア人留学生が出走
箱根駅伝の予選会に出場する大学でいうと、今季は専大と大東文化大が初めて留学生を招聘。流通経済大も13年ぶりに留学生を入学させた。他にも拓殖大、国士館大、山梨学院大、駿河台大、日本大、平成国際大、日本薬科大、武蔵野学院大、桜美林大が留学生をエントリー。今年の予選会には過去最多12人の留学生ランナー出走が予想されているのだ。12人すべてケニア人である。
ケニアは言わずと知れた世界一のマラソン大国であり、速い長距離ランナーの宝庫だ。そのケニア人留学生が箱根駅伝に初登場したのは1989年。花の2区で7人抜きを演じてトップを奪った山梨学院大のジョセフ・オツオリの快走は衝撃的だった。その後、同大は1992年に初優勝を飾り、1994年、1995年には連覇を達成した。
そして、アフリカ勢は高校陸上界にも旋風を巻き起こすことになる。1992年、仙台育英高にケニア人留学生が入学。ほどなく日本各地に留学生ランナーが現れるようになったのだ。その破壊力は抜群で、インターハイの男子5000mはケニア人選手が28大会連続で優勝中。高校駅伝でも留学生パワーが圧倒的だ。
高校、大学とも「駅伝」という人気種目で、学校名をPRしたい経営者側の思惑が吉と出た形だが、来日するケニア人留学生はどのようにしてやってくるか。そこには“仕掛け人”がいる。