※本稿は、井上裕之『人生を自由にしてくれる本当のお金の使い方』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
人事評価制度を理解せずに、理想の給料を得るのは難しい
先日、ある男性(Aさん)から、次のような質問をいただきました。
【Aさん】会社の給料が安くて困っています。高い給料をもらうには、どうしたらいいでしょうか? あまり給料が上がらないようなら、転職も考えているのですが……。
【井上】Aさんの会社には、人事評価制度や賃金テーブルはありますか?
【Aさん】あると思います。
【井上】あるのなら、給料や賞与がどのようなステップで上がるのか、きちんとしたルールが決められている、ということですよね。
【Aさん】そう……ですね。
【井上】ルールがわかれば、どう働けば給料が上がるのか、そのヒントが見えてくるのではありませんか? ルールを知らずして給料アップを望むのは難しいと思います。
成果を上げているのに評価が低い、ルールを守っているのに給料が上がらないのであれば、転職も視野に入ります。自分の能力を正当に、公平に評価してくれる会社に移ったほうがいいでしょう。
ですが、会社が人事評価制度を正しく運用しているにもかかわらず、「その内容を理解していない」=「どうすれば給与、賞与が上がるのかを理解していない」としたら、Aさんにも非があります。
「給料が上がっていない」のは、「満足できるほどアップしていない」だけであって、会社の規定どおりの昇給額かもしれません。あるいは、Aさんの努力の方向性が間違っている可能性があります。
「給料が安い」と嘆きながら、「人事評価制度を理解していない」「給与明細を見ていない」のでは、「理想とする給料」(自分が手にしたい給料)を受け取るのは難しいのではないでしょうか。
ルールを知った上でキャリアをどうするか判断する
「うちみたいな小さな会社には、評価基準なんかないよ。社長が鉛筆なめなめして決めているだけだから」
たしかに中小企業の中には、人事評価基準や賃金テーブルがない会社もあるかもしれません。ですが、明文化されていないだけで、社長の頭の中にはあるはずです。
私なら、社長、あるいは上司に、こう聞きます。
「社長は、どういう社員を求めていますか?」
「社長は、どういう社員を評価しますか?」
そして、回答に納得したのなら、あとは社長の期待に応える働き方をするでしょう。
自分の理想とする給料を受け取るには、どんなスキルを身につけ、どんな成績を残せばいいのか。その条件を確認し、そこから逆算して仕事に取り組めば、給料に反映されるはずです。
社長の期待に応えているのに給料に反映されないのであれば、そのときに「転職」を考えます。
「少しでも高い評価を得たい」のであれば、仕事で得られるお金に大きな関心を持つべき。
「給料が上がらない」という不満があるのなら、会社のルールを知るのが第一。
ルールを知った上で、今の会社で頑張るのか、別のキャリアを考えるのか判断すればいいのです。
お金は、仕事の対価です。良い仕事をして、会社やお客様から評価されれば、それだけの給料を手にすることができるでしょう。