日本経済は「茹でガエル」状態である

いざそう言われてもなかなか危機感を抱きにくいと思いますが、この問題はいつまでもなおざりにしておけるものではありません。「茹でガエルの法則」という訓話をご存知でしょうか?

カエルは、自分が泳いでいる池の水が急激に熱くなれば、その変化を察知して逃げることができます。しかし少しずつ温度が上がった場合には、そのうち何とかなるだろうと思ってそのまま同じ場所に居続けて、いつの間にか茹で死んでしまうというお話です。

この話の「池の水」を私たちの環境である「日本経済」に置き換えても、同じことがいえるでしょう。少しずつ人口が減り、少しずつ売上が減っている、しかし今のところなんとかなっている。

このような状況では、適切なタイミングで正しい決断を下すことが非常に難しいのです。今は国内市場だけでも十分に稼いでいけるかもしれませんが、いつまでもその環境が変わらないとは限りません。将来への布石として、今からでも海外市場とのつながりを作っておくということは重要なオプションだと思います。

しかし、もちろん盲目的に海外市場に挑戦するのは賢明とは言えません。海外市場に進出する際にリスクが存在するのは事実です。実際、私は日本貿易振興機構の海外事務所(ベトナムおよびバングラデシュ)での駐在期間中に、現地に進出する多くの日系企業を支援してきましたが、現地企業に騙されて失敗したという事例も少なからず見てきました。契約金額を振り込んでも契約書通りに履行されないことなど日常茶飯事でした。

このように、アクションをとることにはリスクが伴います。その反面、人口がどんどん減少し、高齢化が進む日本国内においてアクションをとらないこともまたリスクなのです。幸いなことに、現在では海外企業との貿易決済においてリスクを回避する方法が数多く編み出されており、事前にさまざまな情報を収集することで海外進出の際のリスクを最小化することができるようになってきました。

やみくもにリスクを恐れるのではなく、そのリスクの大きさや回避手段などを加味して冷静に判断することが大切です。リスクヘッジの手段を踏まえた上で、経済発展が著しい新興国などの海外マーケットに攻めていくというのが賢いやり方だといえます。