逆に、小さな力で新しい成功を収めやすいのも第一次産業です。

東日本大震災による原発事故の被害に遭った福島県浪江町で、町の再生のためにトルコギキョウの栽培を始めた女性がいます。

そのトルコギキョウは品質のよさから市場で高く評価され、今は家族経営で手取り年収1000万円を超える経営モデルを構築するまでになっているそうです。

しかも、地方ですから家賃などの生活費は都心よりはるかに安く、非常に豊かな暮らしができるでしょう。

こうした成功事例は、農業はじめ第一次産業にはごろごろ転がっています。

ただ、それは情報として流れてきません。多くが個人事業主で発信の場がないし、そもそも「自分は儲かっている」などとあえて言って余計なやっかみを受けたくないからです。

観光業は「必ず復活する」

もう一つは「観光業」です。

僕はコロナ禍以前、著書やインタビューなどで「観光業は将来性がある」と伝えてきました。というのも、日本が貧乏になれば、相対的に外国人はお金持ちになって「物価の安い」日本でお金を落としてくれるからです。

しかし、ここ最近は「観光業が伸びると言っていましたが、さすがにもう厳しいですよね?」と聞かれます。

たしかに、今はまだコロナの影響が大きく、観光業はどこもかなり苦労しています。でも僕はこのパンデミックを踏まえても、「観光業は期待できる」と考えています。

幸いにも、日本には外国人がお金を落としたくなるスポットがたくさんあります。

たとえば、京都のお寺や町並みは京都にしかないもので、「写真ではなく本物を見たい」という人が世界中にたくさんいます。そういう人たちが京都を訪れ、高級旅館に泊まり、高いレストランで食事をし、お土産をどんどん買ってくれる日が、そう遠からず来るでしょう。

2019年、3月27日の夕暮れ時の八坂の仏塔、京都
写真=iStock.com/Eloi_Omella
※写真はイメージです

エジプトがピラミッドなどの遺跡観光でいまだに外国人を呼んでいるように、歴史的価値を持つ観光地は千年単位で栄えます。そういう観光地の周辺は、今後再び活気を取り戻していくでしょう。