日韓関係をよくするためには、どうすればいいのか。韓国生まれの作家・シンシアリーさんは「韓国語は『上下関係』をつねに意識させる構造になっている。そのことが『韓国と日本ではどちらが上か下か』という発想につながっているのではないか」という――。
※本稿は、シンシアリー『日本語の行間』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。
まるでアクションゲームのような会話
私が日本で、日本人の皆さんといろいろ話してみて感心させられた中の一つが、「相手の話を最後まで聞く」ことです。
この期に及んで何を隠そう、読者の皆さんの中にも同じ経験をお持ちの方もいるかもしれませんが、韓国人は相手の話を最後まで聞こうとしません。「はい」か「いいえ」までは聞きますが、それから「なぜ私は『はい(または、いいえ)』と思うのか」と相手(韓国人)に言おうとすると、相手は私の話を切って、自分の話を始めます。そして、その話は、やたらと長いのです。
韓国にいると意外と自覚しなかったりしますが、会話って妙ですね。相手が私の話を切ろうとすると、私は意地でも少しでも長く話そうとし、相手と「マウント取り」が始まります。少しでも長く話せたほうが勝ち。緊急回避(相手が切ってくるタイミングで早口で話し、聞こえなかったふりをする)、無敵時間(露骨に切られても無視して話し続ける)など、アクションゲームのようになります。
でも、何の勝負で、そもそも勝つ必要があるのかどうか分からない、そんな妙な状態になります。その結果はどうなるのか、ご存じですか。
気がつけば、私と相手、二人が同時に喋っています。ゲームで言えば何かのバグ、プログラムエラーで終わります。これは、別に会社などで上司と口喧嘩するシチュエーション設定ではありません。親しい人同士でも、結構こんなことがあります。また、こんな会話になっても、誰も謝ったりしないし、謝る必要もありません。よくあることですから。