“デフォルトの連鎖”の懸念が高まっている

足許で、中国の不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)が、本格的な破綻に向かうとの懸念が高まっている。同社の米ドル建て社債の価格の推移を確認すると、2022年3月に償還を迎える債券も、2025年6月に償還を迎える債券も7~8割の債務減免を織り込んでいる。9月23日と29日に期限を迎えた2本のドル建て社債の利払いは実施されず、30日間の猶予期間に入った。

中国不動産大手の中国恒大集団のビル
写真=Wang Gang/Costfoto/Sipa USA
中国不動産大手の中国恒大集団のビル=2021年9月17日、中国・上海

中国の不動産業界では、エバーグランデ以外にもデフォルト懸念が高まる企業が増えている。中国経済は投資に依存した成長の限界を迎え、共産党政権の経済運営に対する不透明感が増している。返済能力が低下しデフォルト懸念が高まる不動産業者をどう救済、再編するかは共産党政権の意思決定にかかっている。

今後、エバーグランデの経営破綻が、2008年のリーマンショックのような世界的な金融危機につながる可能性は低い。ただ、同社のデフォルトを発端に中国の不動産市況が悪化すれば中国国内の理財商品の価値は棄損され、経済の減速はより鮮明化するだろう。それは、世界経済にとって無視できないリスク要因だ。

切羽詰まった中国の不動産市場

中国経済の成長を支えた不動産市場は、かつての輝きを失い窮地に陥りつつある。その象徴の一つが、約33兆円の負債を抱えるエバーグランデのデフォルト懸念だ。重要なポイントは、エバーグランデ以外にも、資金繰りが逼迫して債務の返済能力への不安が高まる大手、準大手の不動産デベロッパーが急速に増えていることだ。状況は切羽詰まっている。

9月には、物件販売面積で第4位の融創中国(サナック)の資金繰りが悪化し、同社が浙江省紹興市に支援を要請したとの観測が浮上した場面もあった。また、広州富力地産(ガンジョウR&Fプロパティーズ)や花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)などのデフォルト懸念も高まっている。報道によると、2021年の年初から9月5日までに中国では274社の不動産関連企業が経営破綻した。今後、デフォルト、あるいは経営破綻に陥る不動産業者、その取引先企業などは増加するだろう。