「炭素増税」を掲げる政党が人気の不思議

エネルギーの値上がりが、徐々にあらゆる職種に影響をおよぼすことは理の当然で、すでに4月、ガソリンは前年の同月に比べて24.8%、ディーゼルは19.5%も値上がりしていた。もちろん暖房用の燃料油も上がっている。9月には、食料品も上がり始めた。

ガソリンスタンド
写真=iStock.com/gremlin
※写真はイメージです

一方、ドイツにおけるエネルギー高騰は、今年1月より課せられているCO21トン当たり25ユーロという炭素税のせいも大きい。炭素税は来年には30ユーロ、再来年は40ユーロと毎年上がり、2025年には55ユーロとなる予定だ。ドイツ連邦銀行のヴァイトマン総裁いわく「年末にはインフレ率は5%に迫るだろう」。インフレは、好景気でお金が回っているなら国家経済にとって良い兆候だが、ドイツの炭素税は目下のところ、景気の向上を伴わない増税に等しい。今年のインフレ率が5%で済めばいいほうではないか。

そんな中、緑の党は徹頭徹尾、1日も早くガソリン車やディーゼル車を地上から消し去るため、炭素税はもっと高くすべきだと主張してきた。しかもドイツは、その過激な党の人気が、なぜかエネルギー価格同様、一途上昇中という不思議の国である。次期政権では、緑の党の与党入りが確実視されている。

価格高騰は「プーチン大統領が恐喝したから」?

緑の党にとって、炭素税は善だが、インフレは悪。そこで、彼らが電気代高騰の犯人として引っ張り出したのがプーチン露大統領。ダブル党首の一人のアナレーナ・ベアボック氏によれば、ガス価格の高騰はプーチン大統領の恐喝である。このままでは、冬に国民が凍えることになりかねないため、ロシアが契約通りガスを輸出するようドイツ政府が介入すべきだとまで主張した(RND9月23日付)。

ロシアがガスを出し渋っている理由は、それによってロシアとドイツの間の海底ガスパイプライン(ノードストリーム2)の運開認可を早めるためだというわけだ。長らく米国の妨害で遅れていたパイプラインは9月にようやく完成し、これが稼働すればロシアは潤沢な利益が見込め、ドイツはガス不足から解放される。

しかし、現在のガス不足は本当にロシアの陰謀なのか? 在独ロシア大使によれば、ロシアはヨーロッパとの契約はすべて履行しているばかりか、現在の輸出量は去年の水準より40%増しで、契約量を上回っているという。それについてはドイツ政府も認めている。