小さいことの積み重ねで人生ができている
わたくしの身近な人は「あなたは辛い話ばっかり聞いていて、よく身が持つわね」と言うんですよ。でも、その人たちが心を入れ替えるとき、あるいは視点を変えるとき、すごく人間的な成長が見えるんです。その喜びをともに味わうのは、どんなことにも代えられない恵みです。人間の美しさを感じます。人間は死ぬまで成長する生き物。そして悩みは、成長を促す原動力です。悪いものではありませんから、成長に繋がるチャンスと捉えていくのがいいでしょう。
悩みを抱えたら手紙を書くでもいいし、新聞紙くらいの大きい紙を広げてマジックで鬱憤をいっぱい書くでもいい。自分の外に出すと客観的に見えて、解決に向かうきっかけになります。1人では解決できそうにないことは、「この人は安心」と思う人がいれば聞いてもらうこと。何も解決策を出してくれなくてもいいのです。ただ一緒にいて聞いてくれればいいと頼みましょう。
人生なんて本当にシンプルなんですよ。「小さいことの積み重ねで人生ができている」というのがわたくしの根本的な哲学です。わたくしは日頃から自分に「10秒」と言い聞かせているんです。例えば部屋にゴミが落ちていたら「面倒臭い。こんなの後で」と思っても、捨てるのには10秒もかからない。むしろ1秒です。洋服を畳むのも「これは10秒」と言い聞かせる。すると、どんどん部屋が片付いていく。そして「綺麗な部屋に入れた、気持ち良い。10秒のおかげ」と清々しい気持ちに浸ることができます。
(構成=プレジデント編集部)