ホワイトハウス内部からも批判が出る
上述のメディア対応などに対し、ホワイトハウス内ではハリスに対する不満の声もくすぶっている。バイデンに近い側近たちが、ハリス批判を続けており、面白おかしく報じられるようになっている。
特にワシントンのインサイダー情報の提供で広く知られている「ポリティコ」には優先的にハリス批判の情報が複数回、リークされている。
頻繁にやり玉に挙がっているのがハリスの首席補佐官であるティナ・フロノイである。
ハリスに担当してほしい仕事をバイデン周辺からフロノイに打診しても、なかなか応じないという(注2) 。
ハリスの負担を減らすつもりなのか、ハリスのさらなる対応のまずさを露呈させないためなのか、分からないが、フロノイにとってはハリスを守るつもりなのだろう。
これをバイデン周辺は「過保護」とみていて、フロノイのやり方へのいら立ちがある。
大したことがない内輪ネタのようにみえるが、現役の副大統領に対する内部からのいら立ちが表面化するような事態は、近年はあまりなかった。
(注2)https://www.politico.com/news/2021/06/30/kamala-harris-office-dissent-497290
潜在能力はあるが、政権では「独りぼっち」
ハリスにとって不利なのは、そもそも自分に近い人物を政権に入れることがほとんどできなかったことだ。
カリフォルニア州内では検事総長などとして活躍してきたが、ハリスは上院議員経験も1期目の途中でわずか4年での副大統領転出であり、ワシントン人脈は少ない。
ハリスはカリフォルニア州で自分に近い人々で周りを固めようとしたが、バイデンの長年の政治的な関係者が政権入りしたため、それもかなわなかった。
バイデン政権にはオバマ政権時代のメンバーが再登板しているほか、上述のフロノイも元々はビル・クリントンの部下だった。当然、ハリスにとっては肩身が狭い。
さらに、民主党を長年支えてきたベテランチームの中で「ぽっと出」なのに、次期エースとしてちやほやされているとして、やっかみもあるだろう。
潜在能力は高いが、実績はまだ、少なく「独りぼっち」だ。
残念ながら、これがハリスの「現在地」だろう。
ここ最近の副大統領と比べると最も目立たない
ロサンゼルスタイムズのまとめによると9月7日現在、ハリス副大統領の支持率は42%、不支持率は50%となっている(注3) 。
この数字は、同時期のペンス前副大統領よりは良いものの、それよりも3代前の副大統領(バイデン、チェイニー、ゴア)よりも低い。
ハリスにとって、不運といえるのが、ペンスを含む4人の「先輩」たちがいずれも個性的で、国民が副大統領を見る時のハードルが上がっていることだ。
(注3)https://www.latimes.com/projects/kamala-harris-approval-rating-polls-vs-biden-other-vps/