インターネットは地球上の人間を一つにする力を持つ

【竹中】次の世代は、その意志をわかってくれると思いますか?

【村井】大丈夫だと思うよ。ベネフィット(恩恵)があるから。「人類がみんなつながっている」ということから生まれる利益や恩恵が必ず出てくるから。そして、折に触れてそれを意識することがあるだろうし、「それが大事だから頑張ろう」という人が出てくるはずだから、あんまり心配していないんだよ。

【竹中】村井さんっぽい考え方ですね(笑)。

【村井】だってさ、インターネットの前には電話があったんだよ。誰かとつながるなら電話でいいじゃない。でも、インターネットという空間ができると「これは便利だな」と思うわけでしょ。「この空間を大事にしたいから頑張ろう」という人が必ず出てくると思うんだよ。

【竹中】今、日本は政府や行政がいろいろなオペレーションを行っています。それは「国権」という現在地球上でいちばん強い権力を行使しているということです。一方で、別の国も同じ権力を持っている。地球上では「日本対アメリカ」「日本対中国」など国対国という構図で、強権力と強権力が同時に存在するということになっている。そこにインターネットという技術が生まれて、例えば「アラブの春」など国権を揺るがす大規模な抗議活動が行われて、国権の少なくとも一部に変更を加えることができた。こういうことが何回も起こっている。

そのうちにインターネットの価値を国も民衆もわかってくると思うんです。そして、科学的アプローチを身につけていてインターネットでつながって恩恵を受け、大事さを理解した人の間では「戦争は良くないよね」という共通の価値観が自然に生まれると僕は思っています。それは何十年後か、もしかしたら100年後になるかもしれません。でも、そうなった時には過去にいちばん強い権力を持っていた国というものの存在が薄れて「地球上の人間のつながり」というものができる。そして、地球上の人間が一丸となって「太陽エネルギーをもっと効率良く使いましょう」「みんなで宇宙開発をしましょう」という日が来るんじゃないかと思っています。

【村井】そうだね。

【竹中】これは、たぶん「インターネットでつながっている」という体験をしながら仕事をしたり、物事を考えたりして得られる価値観です。そして、その価値観を持った人が政府の中枢に入ったり、国会議員になったり、国際団体の中で活躍することで「戦争のない地球」の誕生が早まるんじゃないかと思います。