高市早苗さんの著書に思わぬヒントがあった
つまり国民全体のデータからも、皇室の記録からも、眞子さまを「29歳での結婚」に駆り立てる理由は見当たらない。眞子さまと同学年の女性に聞いてみたら、「子どもを産みたいと考える人は、20代の結婚にこだわるかも」と教えてくれた。なるほど、それはわかる。とはいえ、29歳と30歳がそれほど違うとは思えず、どうもすっきりはしない。と思っていたら、ごく最近、思わぬところからヒントを得た。
それは、高市早苗さんの著書『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』(大和出版)。そう、あの、自民党総裁選に立候補した、サナエノミクスの高市さん。彼女が政治評論家時代に書いたエッセーを読んだのだ。
92年6月発行で、当時31歳。大学時代(下宿を許されず、奈良から往復6時間かけ神戸大学に通学)から始まり、自分探しの時(松下政経塾→米国の民主党女性下院議員事務所でのインターン)を経て、政治評論家としての活躍までが描かれる。節目節目に、赤裸々な恋愛話がはさまるのが特徴だ。「男かペットがいなくちゃダメな私」という見出しもあったが、高市さん=寂しがり屋だ。
男社会への違和感も抱えていた。朝のニュース番組のキャスターに抜擢されるなどテレビの世界で活躍してからも、セクハラパワハラ的なことは日常だ。女性評論家ならもっと感情的にコメントせよと言われた時は、「思想を曲げてでも、女として与えられた役割に従わなくてはならないのか」と怒る。彼女の原点は、まっとうで明確な上昇志向を持つ女性だとわかった。
「30歳っていうのはすごい重みがある」
そんな高市さんだが、30歳の誕生日に過剰に反応する。10日前、「刻一刻とその日が近づく中で、私はもう、パニック状態」になり、「来る日も来る日も自分でパーティを企画して、友だちに電話をかけまくって」パーティーを次々開く。何軒もはしごし、24時間酒臭く、「ああ、これはちょうどいい。このノリで悲しみの三〇代に突入し、三〇歳のバースディを迎えるのもちょうどいいと思った」。
30年前、「結婚適齢期」をめぐる圧は今よりずっと強かった。高市さんは「どうにも結婚できない私」と書き、10回目のお見合いをしようかどうか迷っていると明かしたりする。が、一方で、こんな論も展開している。
「三〇歳っていうのはすごい重みがある。もはや、のんきに『経験ないからわかんないですぅ』とは口がさけても言えない。恥ずかしくてプライドが許さない(中略)。いままではテレビからお呼びがかかればホイホイ顔出して、タレントでも何でもないふわふわした存在だけど、チャラチャラやっていればそれで済んだ。でも、三〇代になると、『私はだれ? 高市早苗って何なの?』っていう問題を突きつけられるような気がした。それにきちっと答えられなければ、三〇代を乗り切れないゾと」