ロケット事業の成功は優秀な人材のおかげ
コロナ禍のビジネスで苦労する要素の一つが、人材集めだ。
対面での面接はなかなか難しいし、人からの紹介も、さかんには行えない。JALなど大手企業のいくつかは、2021年度から従業員の新規採用を見送っている。業績の上向きがしばらく期待できない業種では、仕方ない部分もあるだろう。
企業はすでに、多くの死活問題を抱えてしまっている。人集め自体が不要不急とされる現在の風潮は、とりわけ厳しいだろう。成長戦略において、人材確保は資金集めと並ぶか、それ以上に重要なタスクだ。優れた人材が得られれば、事業プランの成功は半ば保証されたようなものだからだ。
僕が起業した当初から成功を重ねられたのは、国内トップクラスのプログラマーだった小飼弾さんほか、各分野の若き才能をスカウトできたことが大きい。いま手がけている事業でも、ゼロ高顧問の成毛眞さん(元マイクロソフト日本法人社長)や佐渡島庸平さん(コルク代表)など、著名な実業家を顧問に招き好調な運営を実現できている。
インターステラテクノロジズ代表取締役の稲川貴大くんは、東工大の学生時代に大手メーカー・ニコンへの就職が決まっていたが、僕のスカウトにより、ロケット開発の道へ進んだ。彼は能力の高さはもちろん、若いエンジニアたちを引きつける不思議な人望があった。ロケット事業の現在の成功は、彼なくしてありえなかっただろう。
「人材集め」こそコロナ禍以降の重要な生き残り戦略
こんな時代だからこそ、人知の力がより見直されている。テクノロジーの知識も大切だが、マンパワーによって打破できる場面は多い。僕もいろんな知り合いのビジネスで、絶体絶命のピンチに追い詰められながら、スタッフの強烈なマンパワーで苦境を覆した例を目の当たりにしてきた。人集めを怠けてはいけない。募集は困難になっているが、SNSの発信やオンラインイベントで、スカウト活動は工夫できるはずだ。
ワクチン開発の驚異的な進展と現在急ピッチで進む接種により、コロナ禍にもわずかではあるが、光が見えつつある。光が広がり、街に笑顔の戻ったそのときに「いいスタッフがいない」のでは、立て直しなど根本的に無理だ。
いまだからこそ、感染予防の方法より、優れた人材をあなたの身の回りに集めてほしい。それが不透明なコロナ禍以降の、重要な生き残り戦略だ。