年々弱まっていく支持母体に頼らざるを得ない体質
2つ目の問題は「旧・民主党との違いがみえない」である。
立憲民主党の最大の支援団体となっているのが、日本最大の労働組合の中央組織・連合だ。連合は官公労などの総評系と民間産別などの同盟系などの流れを統一した労組組織。旧・民主党の支持母体としても知られ、民主党が政権交代を果たした2009年選挙では約700万人が加盟する連合の組織票が大きな力になった。
ところが、自民党に政権が戻ってから連合の影響力は年々低下している。旧・民主党が分裂したことで連合も立憲民主党、国民民主党などに支持政党が分散していることに加え、組織力も低落傾向にあり、思うような組織票を出せなくなっている。
マスコミ批判の一方で発信ツールは記者クラブ
野党関係者はこう分析する。
「かつて郵便局や農協の組織票を基盤としてきた自民党も、スタイルの変化を意識しており、発信力のある政治家を重視するようになりました。SNSに強い河野太郎氏はその典型例です。一方、立憲民主党はいわゆる大マスコミ批判をしつつも、内心では大マスコミが大好き。例えば、枝野代表が重視するのはいまだに記者クラブ向けの発信ばかりです」
自民党と立憲民主党の公式サイトを見比べてみると、その一端が垣間見える。自民党の政策ページは図表を駆使したわかりやすいものとなっているが、立憲民主党の政策ページはテキストの羅列なのだ。自民党が国民に直接PRすることを考えているのに対し、立憲民主党はマスコミの記者にさえ理解してもらえばいいと考えているのだろう。SNSの活用も歴然とした差がある。Twitteのフォロワー数では、河野太郎氏が239万人なのに対し、枝野幸男氏は17万人と10倍以上の差がある。
総選挙の切り札として、立憲民主党は強固な組織票を持つ共産党との野党共闘を実現する見込みだが、多くの国民は「党利党略」としか評価しないだろう。
また、執行部の布陣も旧・民主党と代わり映えがしない。枝野代表、福山哲郎幹事長、蓮舫代表代行という顔ぶれを見て、「新しさ」を感じるのは難しい。野党担当記者は「立憲民主党の党勢回復には、民主党政権のマイナスイメージをどう払拭するか、にかかっているのに、いまだに新しいイメージを打ち出せていない」と指摘する。