「おとぼけ」で斬新CMを守る

大橋洋治 おおはし・ようじ●1940年、満州生まれ。64年慶應義塾大学法学部卒業、全日本空輸入社。88年営業本部販売部長、93年取締役、97年常務、99年副社長、2001年社長。05年より現職。08年より日本経済団体連合会副会長も務める。

何か手違いがあり、やり直しが必要になったという報告を部下から聞くと、「えっ、何のこと?」ととぼけ、修正にも「始めから、そうするのだっただろう」と言ってあげる。相手は心の中で頭を下げ、肩の力を抜いて、失敗を取り戻しにかかる。朝、職場で部下と顔を合わせると、いきなり「今夜の食事は、何にする?」と聞く。意表をつかれて絶句した相手も、瞬時に心が和み、リラックスして仕事に入っていく。

職場は、明るく、伸びやかでなければいけない。ずっと、そう思って「おとぼけ」と「いたずら心」を重ねてきた。