テレワークに潜む上司と部下の軋轢

まず、テレワークで社員の方々からよく聞こえる声をご紹介します。

「途中経過の報告を頻繁に求められる」
「上司の要請でオンラインミーティングを開くと、延々と会議が続く」
「必要性を感じないのに、出社させられる」

といったものが多いと感じています。

特に1つ目の、「途中経過や報告を頻繁に求められる」という声は、部下と上司の間に生まれた意識ギャップによる行き違いを端的に示す職場の大問題です。

仕事の進捗など、自己管理ができる社員からは、「お願いだから、仕事の邪魔をしないでくれ~」という切実な声が聞こえてくる一方、上司はこれまで以上に報告・連絡・相談を求める傾向が強くなっています。

窓辺で腕を組む真剣なビジネスマン
写真=iStock.com/electravk
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上司や管理職層との間で、なぜそうしたギャップがテレワークでは生じるのでしょうか。原因は、背景には上司や管理職層が抱える6つの要因に整理することができます。

途中経過の報告を頻繁に求める“昭和上司”の心理

1.目の前で働く姿を見て、部下を評価すべきだと思い込んでいる

会社に出社するのが当たり前だった頃のまま、自分の目の前で働く姿を見て、部下を評価する方法が正しいと思い込んでいるケースです。このタイプの人は部下の働く姿がリアルに見えないため、リモートワークには否定的になりがちです。

2.長年続けてきた仕事の方法を変えられない

「打合せは、直接顔を突き合わせて行うのがミーティングだ」
「就業後は部下を誘ってなじみの店に行くのがコミュニケーションだ」

長年続けてきたこうした習慣を変えられない人はいます。

またメンバーシップ型マネジメントで育ってきたため、プロセス管理型マネジメントしかできず、リモートワークに最適なマネジメント方法を見いだせない場合もあります。

3.これまでの「労働時間管理」発想に縛られている

会社で長時間労働やサービス残業をさせないようにするために生まれた仕組みが、「労働時間管理」や「勤怠管理」です。しかしテレワークではこの制度をそのまま適用できない状況が生まれます。

テレワークでは出勤時間や退勤時間、昼食時間や休憩時間、残業時間などが自己申告になるなど、会社内で就労する場合とは異なる状況が生まれます。どこまで本人の申告を信じ、またその裏付けをどこでどう取るのか、立ち止まってしまう人も現れます。

4.ITリテラシーの不足

会社に届く紙の請求書や契約書を処理し、承認の印鑑を押すために出社するといったアナログ対応に疑問を感じていない。リモートツールやチャットツールに不慣れなため、テレワークに積極的になれない。こうした人はどの企業にも存在しています。

ITを活用した働き方に前向きに取り組んでこなかった人にとって、テレワークへの転換は傍で見るより難しいようです。