価値のあるオリジナル商品を売ることにはもうひとつのメリットがある。売り上げがこれまでと同じだったとしても、商品単価が上がっていれば売り上げ数量が減ることになり、スタッフの作業量が減る。結果的に人件費が下がり、利益率が上がるという点だ。
もちろん、すべての商品をオリジナルにすることはできない。成城石井の場合、オリジナル商品は全体の30%だが、いずれもコストパフォーマンスが高く利益も取れている。過去2年、これらの商品を売り込むことで商品単価は前年比110%となり、粗利率は29%から32%にアップした。
価値の高い商品を、売り場で売り込むには次の5つの方法がある。
(1)店内の優位置を確保し、非計画の買い物を誘う。
(2)フェース(陳列面)数を増やす。
(3)在庫を多くし、商品を積み上げる。
(4)商品のよさを書いたPOPを掲げる。
(5)接客を通して産地や製法などを伝える。
これらを徹底するだけで売り上げは3倍になる。実際、お客様から「成城石井は品質のわりに安い」という声もいただいている。
一朝一夕にはできないのが、商品の価値を伝えるための人材の育成だ。それには時間も手間もかかるが、手を抜いてはいけない。成城石井では、お客様との接点が最も多い場であるレジを重要視し、チェッカー教育に注力している。2009年に開催された「チェッカー技能検定」(日本セルフ・サービス協会主催のレジ係の検定試験)の1級合格者26名中、6名が成城石井の社員だった。目に見えないところにも力を入れているのは、価値を生むのは結局人だからだ。
重要なのは人を育て、オリジナル商品を開発すること。商品を開発するのが難しいなら、挨拶を徹底し、粗利が高めの商品や特売をしていないのに売れている商品を探し、それを先に述べた5つの方法で売り込んでみることだ。
※すべて雑誌掲載当時