転職サイトでは登録者が2割増

海外での就職を視野に入れ始めた人もいる。今回のアンケートでは、「海外で働きたい気持ちが強くなった」と答えた人が2割強(22.4%)おり、特に20~34歳で顕著だった。

仕事観
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仕事観

外資系金融機関で転職を重ねてキャリアアップし、現在、外資系銀行の管理職を務める高岡昇さん(46歳)もその一人。仕事人間を自認する高岡さんは、平日は終電まで仕事、土曜日は大学院で金融の研究、日曜日はジムで体を鍛え、家族との時間も持つ。その多忙な毎日に震災後、転職活動が加わった。

「転職希望は以前からありましたが、震災後、日本のために何かしたいという思いが強くなった。そのためには外から日本を支えるという方法もあるのかなと考えています」

その背景には、高岡さんが海外を訪れるたびに抱いた日本への危機感がある。

「出張で頻繁に海外へ行きますが、ここ数年、海外投資家の日本離れを目の当たりにしてきました。実際、日本から撤退し、アジア諸国へ拠点を移す金融機関も多い。このままいくと日本は金融地図から完全に消えてしまう、そんな不安を感じていた矢先、起こったのがあの震災だったんです」

震災後、高岡さんの危機感はより現実のものになっている。高岡さんが所属する金融機関も日本市場への投資額を減らす決定をした。

<strong>高岡 昇</strong>(46歳/外資系銀行/転職歴2回/妻・子1人)●「いままでの転職活動との違いは、初めて能動的に動いたこと。震災後、世界の経済地図の中から日本が消えていくのを目の当たりにした。日本は駄目といわれているけれど、自分の力で活性化させたい。中3の娘には、将来の選択肢の幅を広げてあげたくて、3月に短期留学をさせました」
高岡 昇(46歳/外資系銀行/転職歴2回/妻・子1人)●「いままでの転職活動との違いは、初めて能動的に動いたこと。震災後、世界の経済地図の中から日本が消えていくのを目の当たりにした。日本は駄目といわれているけれど、自分の力で活性化させたい。中3の娘には、将来の選択肢の幅を広げてあげたくて、3月に短期留学をさせました」

「このままじゃ悔しいと思いました。日本で海外から投資されるのを待つのではなく、自ら海外に出て日本のマーケットを活性化させるため、力を尽くしたいと考えるようになったんです」

今回の震災によって、グローバル化に一層拍車がかかると話すのは、年収1000万円以上の転職サイトを展開するビズリーチ・代表取締役社長の南壮一郎さん。「節電で満足な生産活動が行えない、原発事故も依然として収束しない状況では、生産工場を海外へ移転させる方向に向かうのは致し方ないこと。円高ですでにそうした機運があった中、震災は最後のブロー(打撃)になってしまったと言ってもいいでしょう」。