家族を犠牲にするほど価値があるのか
仕事観の変化は当然、生活観の変化にも繋がる。アンケートでは、既婚者の7割(69.2%)が「家族との時間が増えた」と回答。
「より効率を重視して仕事をするようになった」(45.0%)、「早く帰宅するようになった」(25.8%)、「自宅で過ごす時間が長くなった」(30.6%)、「平日、自宅で夕食を取る頻度が増えた」(22.5%)といった結果から、生活面においては、家庭へ回帰した人が多かったということができるだろう。
一方、否応なく働き方や生活を変えざるをえない状況に追い込まれた人もいる。橘さやかさん(33歳)と文也さん(36歳)夫婦がそうだ。妻のさやかさんが勤める大手自動車会社では、7月から9月までの3カ月間、節電対策のため、休日が土日から木金に変更された。その結果、2歳の子どもを含む家族の生活サイクルが変化し、家族で過ごせる時間は激減した。
「一番大変だったのは、息子だと思います。両親が揃わないことを敏感に感じているんでしょう。以前に比べ、甘えてスキンシップを求めてくることが多くなりました。急なことだったので、週末に預けられる場所を会社が確保するなどの対応もありましたが、平日も保育園、土日も保育園というのは不憫なので、わが家では土日は夫が面倒を見ています」
平日朝の保育園への送りは文也さんが、迎えはさやかさんが担当する。大手電機メーカー勤務の夫・文也さんも効率的に働くため早朝出勤し退社時間を早めるようにしたいが、保育園への送りがあるため難しい。家族全員が揃うのは結局、夜遅くになってしまう。
「土日に子どもの面倒を見るのはきついです。自由時間がまったく取れなくて、床屋にすら行けない(笑)。でも改めて家族の大切さを痛感しているのも事実です」と文也さんは言う。