「分科会の専門家は頭が古い」尾身茂会長は適任と言えるのだろうか

専門家たちはいったい何をしているのだろうか。

挙手する尾身会長
挙手する尾身会長=2021年7月29日(写真=時事通信フォト)

私は日本の政策ブレーンの選び方に大きな問題があると見ている。そう断言するのは、上記のような“もたもた”した対応の遅さだけが理由ではない。

率直に言えば、政策ブレーンである専門家たちは、頭が古いのだ。

彼らが現在のポジションに就いたのは、それなりの実力を伴っていると認められたからだろうが、それは現時点での研究能力や勉強量ではなく、「昔の実績」やそれが反映された肩書が大きな影響を与えたと思われる。だが、過去に実績がある人が、現在も実績や結果を出しているかどうかはわからない。専門家といえども、時代遅れの存在となることもある。

実際、海外では当たり前に行われている比較実験のようなものも日本ではほとんど(少なくとも彼らの主導では)行われないなど、ブレーンの発想は総じて古臭いものに映る。

新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、20世紀末に西太平洋地域でのポリオの根絶を達成するなど華々しい実績を持っている。それによってWHOの西太平洋地域の事務局長などに選ばれているが、それは20年以上の前の1998年の話だ。その後も論文を検索してみても総説のようなものは別として研究論文の発表は21世紀になってからは見かけない。

コロナのように新しい病原体に対応するのに、そうした人材が適切なのかどうか。もし、誤った人材が会長の地位に配置されているのであれば、その存在を頼りとする日本は、結果的に他国の進んだ知見を持つ研究者のサル真似をするしかないのではないか。