企業がテレワークを味方につける3つの方法
(1)定期的なオンライン面談で、社員の様子を把握する
テレワーカー、またその管理をする上司双方が抱える「相手の気持ちが察しにくい」ことへの不安を解消するため、定期的に業務の進捗やスケジュールを共有できるツールの導入を検討しましょう。また、これまで以上に体調確認や細やかな声掛けを心がけてください。1対1でのミーティングの場を、定期的にスケジュールに組み込み実施するのも良いでしょう。
その中で「何かいつもと違う」様子がある場合には、企業の担当者や産業医につなぐことや、受診を促すことが必要となってきます。ストレス反応は初期に服装や髪型等の身だしなみに出やすいと言われていますので、オンラインミーティングの際などは注意をして見るようにしてください。厚生労働省の指針では、「管理監督者による部下への接し方」として、以下のチェック項目を挙げています。
○ 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
○ 残業、休日出勤が不釣合いに増える
○ 仕事の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する
○ 業務の結果がなかなかでてこない
○ 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
○ 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
○ 不自然な言動が目立つ
○ ミスや事故が目立つ
○ 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする
(厚生労働省「職場における心の健康づくり」)
(2)健康面での相談窓口を用意する
テレワークにおいては、心身共に不調を起こしやすいということはお話ししましたが、テレワーク中は実際に出勤している社員以上に企業側での健康管理が難しくなることが考えられます。社内に産業医や保健師が居る場合には、相談しやすい環境整備をしておくことが重要です。
また、産業医等の専門家がいないという企業においては、外部機関を有効利用していただきたいと思います。厚生労働省が運営する「こころの耳」や「新型コロナウイルス感染症関連 SNS心の相談」等をぜひご活用ください。
(3)作業環境の調整をする
コロナ禍によるテレワークは今後長期化することも考えられます。また、それを別としても、テレワークで不自由なく働ける環境をつくることが今後求められていくことは確かです。作業環境の調整は社員の責任とするのではなく、企業側から物的支援や費用負担を行うことも必要になってきます。
最終的に、テレワークでの不調とそこからつながる退職を防ぐためには、個人と企業の二方面からのアプローチが必要となります。テレワーク本来の恩恵を双方が得られるよう、まずはコミュニケーション、意思疎通を積極的に行うようにしていただきたいと思います。