1日の歩数が4000歩を下回るとメンタル不調のリスク

また、テレワークで通勤がなくなり、自宅で過ごす時間が増えたことによって活動性の低下・生活の乱れや就業環境の悪化などが起きやすくなっています。これらも実は心身の不調の原因となっており、離職にも見えないところで影響していると考えます。

例えば、昨年の緊急事態宣言中、1日の歩数が3000歩未満である人の数は、コロナ以前の約2倍であったという調査結果があります(リンクアンドコミュニケーションズ「『コロナ流行下における生活習慣の変化』最新調査結果を発表」)が、実は、1日あたりの歩数が4000歩を下回るとメンタル不調のリスクが高まることがわかっています。

日の当たる道を歩く人
写真=iStock.com/yevtony
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外出を控えることに関する悪影響は他にもあります。それは「日光を浴びることができない」ということ。人間にとって外に出て日光を浴びることは、食事や睡眠と同じく生きる上でとても大事なことです。起床後、午前中に日光を浴びることによりセロトニンが分泌され、無意識のうちにメンタルバランスが整えられているのです。

「コロナを避けて外出をしていなかったらメンタル不調を起こしてしまった」と、実際に「コロナうつ」という言葉もよく聞かれるようになりました。

また就業環境ということでいえば、突然テレワークに切り替わり、自宅にちゃんとした環境が整っていない方も多いのではないでしょうか。床に座っての作業や、身体に合わない机や椅子での作業も肩こりや腰の不調を引き起こします。もちろん不調をそのままにしておけば心身への影響も大きくなってしまいます。

テレワーク環境を整えれば離職率は下げられる

ここまでネガティブな影響について述べてきましたが、冒頭から述べている通り、正しく活用されればテレワークは多くのポジティブな影響をもたらすものだと考えられます。

最もテレワークが普及している国のひとつ、アメリカで行われた調査では、テレワークに対応している企業の離職率がそうでない企業と比べて25%も低いという報告がされています(OWL LABS「2017 State of Report Work Report (United States)」)し、国内の調査においても、転職先を検討する際の条件としてテレワークの実施や制度の充実が重要である、と回答した人が54.4%もいたという結果が出ています(doda「リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する意識調査」)

つまり、テレワークの環境さえしっかりと整えれば、離職どころか、優秀な人材の確保や就業意欲、生産性の向上へとつながるということになるかもしれません。

以下、企業ができることを挙げていきます。