重要なのは、影響を認めつつ、対策を検討することだ
「緊急事態拡大 緩みは五輪のせいではない」と見出しを立てた7月31日付の読売社説には驚かされた。
東京オリンピックでの日本勢の快進撃を具体的に挙げた後、「気がかりなのは、新型コロナの感染状況だ」と書き、「一部には、こうした感染拡大と五輪開催を結びつける意見があるが、筋違いだろう」と指摘する。
読売社説は無関係の根拠として「今大会は、感染防止を最優先に、大半が無観客で開催されている。これまで、競技会場や選手村で大きな集団感染は起きていない。無観客という苦渋の選択が奏功していると言えよう」と書くが、「無観客」は分科会の尾身会長ら専門家の求めであり、当初、菅首相は有観客に固執し無観客に反対していた。競技会場や選手村での集団感染についても本当に発生していないのか、疑問である。
それに読売社説は、世界最大の祭典が人々の気分を高揚させ、危機感を喪失させる危険性については一言も触れていない。五輪は4年に一度の世界規模のイベントだ。それが行われていれば、軽はずみな行動が増えてしまうというのは仕方ない。重要なのは、影響を認めつつ、対策を検討することではないだろうか。