相手を注意するときは「極端語」を使わない
◯ どうして、遅刻するの?
最初に抜くべき言葉のトゲは、≪極端語≫です。
たとえば、相手が2、3回くらい同じミスをしたとき、「いつも同じミスばかりして!」と注意することがありますよね。この「いつも」が極端語です。「2、3回」を「いつも」というように極端に表現してしまっているわけです。
極端語には、「まったく」「絶対」「ちっとも」「なんにも」「全然」などたくさんの言い方があり、会話の中に頻繁に登場しがちです。「自分の気持ちをもっと相手に伝えたい!」という思いが強くなるほど、極端語は増えていく傾向にあります。
良いことを伝えるときに使うならよいのですが、人を叱ったり注意したりするときに使うと、必要以上に相手を責め立てることになり、傷つけたり反発を生んだりしてしまうのです。
会話例のように「どうして、いつも遅刻するの?」と言われると、相手は「今回は遅刻したけれど、前回は間に合うように来たのに」と反論したくなってしまいます。大抵の場合、事実はそこまで極端ではないため、極端語で叱られると相手はその極端語に対して「そんなことないのに」と反論・反発してしまうわけです。
例の他にも、「ちっともわかってない」「全然できてない」「◯◯ばっかり」などの言い回しは、職場の部下や同僚、恋人やパートナー、子どもを叱るときなどに、つい使ってしまいがちですが、それでは相手の反省を促すこともできず、逆効果になってしまいます。
人を叱るときや注意するときは、極端語を使わないことを心がけると、相手も素直に反省することができ、関係を拗らせずに済むでしょう。
負の感情を強める≪悪意の比喩≫に要注意
◯ 一度聞いたらちゃんと覚えて
≪極端語≫の次に気を付けた方が良い言葉のトゲが、≪悪意の比喩≫です。比喩を使うと、表現が強く鮮やかになり、面白みを出すこともできます。それだけに、相手を注意するときなどに使うと、相手の感情を余計に逆撫ですることになります。
たとえば、あまり働かない人に対して「給料泥棒」という表現を使ったりしますが、「もっと仕事に身を入れてください」などと言うのに比べて、何十倍もの破壊力を持っています。